落ち着きが無かったり立ち歩く子供への放課後等デイサービスでの支援方法や対応方法
落ち着きが無かったり立ち歩く子供への放課後等デイサービスでの支援方法や対応方法
発達障害を持つ子供の中には、授業中や課題を行っている時に落ち着くのが難しく、たち歩いてしまったり、体をソワソワと動かし続けてしまう事があります。
落ち着くことが難しいと授業や活動に集中できないばかりか、状況を知らない周囲の人から見ると行儀が悪いと思われる場合もあります。
また、他の子もつられて動き回ってしまい収集がつかなくなることもあります。
このページでは落ち着きが無い子に対しての放課後等デイサービスでの支援や対応方法はどのようなものがあるのか紹介します。
子供が落ち着きが無い場合や立ち歩いてしまう理由
発達障害の子はその特性から、物事への集中ができなかったり、違うものへと気がそれてしまう事があります。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)である
発達障害の分類のひとつに、ADHD(注意欠陥・多動性障害)というものがあります。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、集中力が無い『不注意』、じっとして落ち着くことが難しい『多動性』、物事を考えず突発的に行動してしまう『衝動性』の3つの要素を特徴としています。
ADHDは必ずしも上記3つの特徴を持っているわけではなく、人により傾向が異なり、大きく『不注意優勢型』『多動性衝動性優勢型』『混合型』の3種類に分かれています。
ADHDの中でも多動性の特徴が強いと、一つの場所にとどまったり落ち着いて座っていることができず、常に歩き回ったり体の一部が動いてしまうという行動が見られます。
不注意の特性が強いと授業や課題など取り組むことへの集中力が途切れやすく、他の物事に興味がそれてしまったり、気になる物や場所を目にするとそちらに行ってしまうということがあります。
集中力の持続が難しい
発達障害の子は興味が無いものに対して集中するのが難しい傾向にあります。特に勉強や課題や作業などは本人が興味を持っておらず、授業としてやらされる事が多いので、つまらないと感じ集中ができなくなります。
注意力が散漫という特徴を持つこともあり、窓の外の景色や教室の掲示物など目に入ったものに興味が向いてしまう場合があります。
また、想像の世界や自分の世界に入りやすいということもあり、そちらに集中してしまうという事も見られます。
感覚過敏
発達障害の子は感覚がとても敏感になる、『感覚過敏』という特徴を持っていることがあります。この感覚過敏が原因で大人しくしていることが難しくなり、落ち着きが無いように見られてしまうこともあります。
耳からの音に敏感となる聴覚過敏になると、ちょっとした音が大きく聞こえる、人のざわめきなどの音がすべて耳に入り混乱する、苦手な音が増えるなど症状が見られることがあります。
目からの情報に敏感となる視覚過敏になると、日光や蛍光灯の光が眩しいと感じたり、たくさんの物が目に入ると目からの情報が多すぎて混乱してしまいます。
触覚が過敏になると、椅子の座り心地、背もたれの感覚、机の感覚などが苦痛に感じ姿勢を保持しているのが辛くなる事もあります。
感覚鈍麻
発達障害の子は感覚が鈍くなる『感覚鈍麻』という特徴を持っていることもあります。これは感覚過敏とは全く逆な状態で、様々な感覚がとても鈍くなってしまうというものです。
平衡感覚が鈍くなると体のバランスがわからず、体が傾いてしまいフラフラと動いているように見られてしまう事があります。
手足など身体の部位の位置を調節する固有感覚が鈍いと、体がどのように動いているのかや、手足の位置などが把握できず姿勢が崩れたり、フラフラと動いてしまいます。
姿勢の保持が辛い
体の筋肉の発達が遅れていたり、体幹の機能が弱いために姿勢を保持する事ができず、フラフラと動いたり立ち歩いてしまう場合も見られます。
筋肉の発達が遅れていると姿勢を正してもすぐに背中が丸まったり、座っているのが辛くあぐらをかいたり、ゴロンと横になる事も多いです。
机に頬杖をついているのも態度が悪いのではなく、姿勢を保持するために肘をついて頭を支えているということもあります。
机や椅子が体に合っていない
机や椅子が体に合っていないため座っているのが困難で、体を動かして姿勢を保持している事もあります。
椅子や机に関しては、椅子が大きいことで足が床に付かない、座面がツルツルした材質のためお尻や背中が滑ってしまう、机と椅子の高さが合っていない、体に接触する部分が痛いなど様々な面が考えられます。
授業や作業の内容がわからない
授業の内容や作業で行う内容がが理解できないことで集中ができず、たち歩いたりソワソワと体を動かしてしまうということもあります。
また、単純に「今は何をやる時間なのかがわからない」ということから勝手に動き出してしまうこともあります。
内容に関しても難易度が高くて理解ができないのか、説明を聞き漏らし行う事がわからないのか、言われた事を忘れてしまうのかなど、子供の発達段階や特性により様々な理由が考えられます。
単調なことの繰り返しのため
単調な事を繰り返すのはどの子でも苦手です。
そのため集中力が続かずに飽きてしまったり、別のことを始めてしまい動き出してしまうということもあります。
放課後等デイサービスでの支援方法と対応方法
落ち着きが無い子や立ち歩いてしまう子には、放課後等デイサービスにおいてどのような支援が行えるのかを紹介します。
集中できる環境を作る
子供が集中できる環境を作ることも重要です。
目に入った物に意識が向いてしまう子の場合には、周囲にある不要な玩具や道具を片付けたり、掲示物を剥がすなどの対応を取りましょう。
また、机の位置を代えて壁などの何も無い方向に向けたり、パーティション付けて周囲の情報をシャットアウトする方法もあります。
音に敏感な子の場合には静かな個室などを利用したり、音を軽減できるイヤーマフや耳栓などを用意してあげましょう。
光などに過敏な子がいる場合には、ブラインドやカーテンで日光を軽減したり、室内の明かりの強さを調節します。
体に合った椅子や机を使う
体に合った椅子や机を使用するのも重要です。まずは子供に座ってもらい、大きさや座り心地などを確認してもらいましょう。
放課後等デイサービスでは子供の体に合わせて数種類の椅子や机を用意したり、高さ調節ができるタイプのものを使うと便利です。足が床に着かない場合には、椅子の下に足置きを置くと姿勢が安定します。
お尻や背もたれの感覚が嫌な場合にはクッションやカバーをかけるなどの対応をします。お尻が滑ってしまったり、腰の位置が落ち着かないという場合には、座位保持用のクッションやパッドなどを使いましょう。
見通しをつける
発達障害の子は今後のことを予測したりするのが苦手です。そのため、物事を行わせる前には予定や内容を説明して見通しをつけてもらうことが重要です。
見通しをつけさせる説明には「行う事」以外にも、「どのくらい行うか(時間や回数)」や「終わりの条件」など教えてあげると、集中して取り組みやすくなります。
説明も話すだけではなく、実際に職員がお手本を見せてあげるのも、具体的な内容が理解しやすく効果的です。
行う内容をわかりやすく提示する
勉強の内容や課題で行う事の理解が難しい場合には、子供本人がわかりやすいように説明することが重要です。
説明も言葉だけでは理解が難しい場合には、黒板やホワイトボードに書き出してあげましょう。
言葉で聞いただけではその場での理解が難しかったり、途中で忘れることがあります。文字で書いておけば後から確認をし直したり、忘れても記載内容を見ることで再度思い出すことができます。
発達障害の子は耳からの情報よりも目からの情報の方が理解しやすいこともあり、絵カードや写真などで行う事を提示するのも効果があります。
途中で行う内容を忘れてしまったり、意識が違う方へ向いてしまうといった事が見られる場合には個別に声をかけることも必要です。
学習や作業内容を調節する
学習内容や作業の内容が難しくて集中が出来なかったり、嫌になってストレスを感じている場合には難易度を調整するのも必要です。
勉強などでは難易度を下げたりヒントを出すようにします。作業などでは回数や1つの作業時間を少なくするのも良いでしょう。
やり方などがわからない場合には職員が付き添ってフォローをしたり、お手本を見せることも効果があります。
途中休憩を入れる
長時間の集中や姿勢の保持が難しい子の場合には、途中で休憩やリフレッシュの時間を取り入れましょう。
リフレッシュの時間は決まった場所なら自由に立ち歩いたり、お友達とお話をしても良いようにします。
内容にメリハリをつける
勉強や課題も着座して黙々を行うだけでは、大人でも嫌になってしまいます。
実際に私が研修や勉強会に出かけても、講師の話を1時間も聞いていると苦痛ですし、眠くなることも多いです。
このような場合の対処方法としては、勉強や課題の合間に質問タイムやお友達との相談の時間などを作り、メリハリを付ける事も重要です。相談タイムでは自由に動いても良いとすることで、体を動かしリフレッシュにも繋がります。
授業のような形式の場合には発表の時間を作ったり、グループ学習の時間を作ることも効果的です。
場合によってはストレッチの時間を作ったり、5分から10分の休憩やフリータイムを挟むのも良いでしょう。
ルールを作る
落ち着きが無く動き回ったり立ち歩いてしまう子がいる場合には、ある程度のルールを決めて守ってもらうことも重要になります。
発達障害の子が様々な面で辛いと感じていても、何でも自由にして良いという訳にはいかない場合もあります。
そのため、放課後等デイサービスにおいては、子供本人が守れる程度のルールを作り、それを守ってもらうようにしましょう。
発達障害の子は暗黙の了解よりも、明確に決められたルールが決まりごとのほうが理解がしやすいという特徴もあるのでルール化は効果があります。
ルールとしては『何分間は我慢する』『始まりの会や終わりの会は着席する』『おやつを食べる時は姿勢を正す』『勝手に立ち歩かず職員に一声かける』などです。具体的なルールにはその子の特性や状況、発達段階などを考慮する必要があります。
まとめ
発達障害の子はその特性から、落ち着いていることが難しかったり、勝手に立ち歩いてしまうことがあります。
放課後等デイサービスにおいては、その子一人ひとりの特性を理解し、まずは子供本人が落ち着いて活動が出来る体制を整えてあげる必要があります。
特に集中に関しては子供本人の問題よりも、周囲の環境が問題であることも多いため、放課後等デイサービスの環境や備品を整備するということも必要になります。
集中できず落ち着けなかったり立ち歩いてしまうのは子供からのサインでもあります。支援者としては子供が困っていることを適切にフォローすることが重要です。