癇癪(かんしゃく)を起こす子への放課後等デイサービスでの対応方法
癇癪(かんしゃく)を起こす子への放課後等デイサービスでの対応方法
子供の中には自分の思うようにならなかったり、やりたいことをとがめられたりすると怒って泣き出したり、ひっくり返ってバタバタと暴れたりと癇癪(かんしゃく)を起こす事があります。
癇癪はどの子にでも見られる自分の気持ちの表現方法のひとつで、定型発達の子にも発達障害の子にも見られる行動です。一般的に定型発達の子は2歳ごろから見られ始め、小学生になる6歳ごろには落ち着く傾向にあります。
2歳頃になると自分の思いや自我や自己主張が出始めるも、その表現方法や気持ちの折り合いが未熟なために癇癪という行動になります。
発達障害の子はその特性や発達の遅れなどから、自分の意思の表現が難しかったり、気持ちの折り合いや切り替えがスムーズに行かないため癇癪を起こすことが多くなります。
発達障害の子供の癇癪には「泣き喚く」「大声を出す」「手足をばたばたと動かす」「その場で寝転ぶ」「人にあたる」「物を投げたり壊す」など様々な行動をとる事があります。
発達障害の子供が癇癪を起こす理由
放課後等デイサービスを利用することの多い、発達障害を持つ子はその特性から癇癪を起こしやすい傾向にあります。
気持ちの切り替えが苦手
発達障害の子は気持ちの切り替えが苦手であったり、スムーズに切り替えが出来ず時間がかかってしまうことがあります。
特に怒りや不安など負の感情に対しては、自分でどうしてよいのか分からずに、大声や泣いたりと体の動きで表現したり、物や人に当たって発散させようとすることがあります。
予期せぬ事に対応できないため
自分が予期せぬ出来事に遭遇すると、どのように対応を取って良いのか分からずに、不安やストレスを感じることがあります。
この際にも気持ちを落ち着けることが出来ず、癇癪を起こすことがあります。また、気持ちが混乱してしまいどうしようも無くなった場合には、パニックに繋がることもあります。
こだわりなどから
物事へのこだわりが強いと、こだわりに対して満足できない場合、癇癪を引き起こすことがあります。
こだわりには自分の思い通りにならない場合や、自分の満足できる結果が得られない場合に、ストレスや不安や怒りなどを感じてしまい癇癪につながります。
嫌な事や不快な事を感じた場合
発達障害の子は感覚過敏などの特性から、様々な事に対して不快を感じることがあります。
聴覚過敏の場合には音に対して、視覚過敏の場合には光や周囲の人の動きなどに対してストレスを感じます。
また、対人関係、気温、場の雰囲気、空腹など多くのことに対して不安やプレッシャーを受けることが多く、気持ちが耐えられなくなった際に癇癪を起こすことがあります。
自分の思いを伝えられないため
言葉での会話や、意思表示などの方法が未熟で、コミュニケーション面でも困難を抱えるのが発達障害の子供の特徴でも有ります。
コミュニケーションが苦手な子の場合、自分の気持ちを相手に伝えようとしても上手く伝わらなかったり、自分の思いの一部しか伝わらずそのイライラから癇癪につながる事があります。
自分の思い通りに行かないため
自分の中では「これをやりたい」という事を考えていても、実際に行うことが出来ずストレスがたまってしまうのも原因のひとつです。
特に年齢の小さい子の場合にはやりたい事があっても、まだ体を自由に動かすことが出来なかったり、それをどの様に行えばよいのかがわからず、その苛立たしさが癇癪となってしまいます。
自分の意見を通したいため
自分の意見を通したいが為に癇癪を起こすこともあります。
ありがちな例ではスーパーのお菓子コーナーで欲しいお菓子を買ってもらえず、駄々をこねたり、寝転んで泣き喚くというような行動です。
これも「お菓子を買って欲しい」という意思を表現する方法のひとつとして行っており、子供の気持ちがより強くなると癇癪となります。
間違った経験(誤学習)から
癇癪を起こした際にお菓子を貰えたり、好きなことをさせてもらったりと、自分の思い通りに物事が進んでしまった経験を持っている場合、癇癪を起こすことで自分の意思が通せると間違った覚え方(誤学習)をしてしまったという場合があります。
また、癇癪を起こしたことで、親や周囲の人から心配してもらった経験がある場合には「泣き喚くと大人の気を引くことが出来る」と思い込んでしまい、コミュニケーション方法の一つとして癇癪を起こしてしまうこともあります。
放課後等デイサービスでの対応方法
放課後等デイサービスの活動において、癇癪を起こしてしまう子がいる場合には、その子の特性や発達状況を考えて適切な支援を行う必要があります。
クールダウンをさせる
気持ちの切り替えがスムーズに行かず、癇癪を起こした場合には本人の気持ちが落ち着くまで待ってクールダウンさせます。
クールダウンの際には子供本人や周囲の人や物に影響が出ないかを注意し、危険が無いように見守ってあげます。
周囲の子や物などに八つ当たりする場合には、周囲の子に移動してもらったり、周囲にある物を遠ざけるようにしましょう。
クールダウン出来た際には褒めてあげ、気持ちを落ち着かせることが出来たことを評価してあげましょう。また、以前の癇癪よりも早く気持ちを切り替えることができたら、その面でも褒めてあげ、徐々に気持ちの切り替えがスムーズに行くように誘導してあげることも重要です。
気持ちを代弁する
子供が癇癪を起こした場合には、気持ちを汲み取って代弁してあげることも重要になります。
心情を察して本人の伝えたかったことを代弁したり、気持ちを汲み取った声かけをすることで、回りの人から理解を得ることが出来ていると安心し、癇癪を落ち着かせることができます。
理由を聞く
癇癪は子供の気持ちの表現方法のひとつであり、癇癪を起こした子供は要望が有ったり、何かを伝えたかった可能性が高いです。
そのため癇癪を起こした際には子供本人に理由を聞くことも重要です。理由を聞くことで子供の要望をかなえてあげたり、対処方法などを教えてあげることができます。
なお、癇癪を起こしている最中は子供も気持ちの整理がつかない状況なので、クールダウンして子供が落ち着いてから理由を聞くようにしましょう。
対処方法を教える
癇癪で物事を解決しようとしている場合には、正しい解決方法や対処方法を教えてあげましょう。
物事の要求の際には言葉やサインでの伝え方、気持ちの切り替えがスムーズに行かない場合にはクールダウンの方法、ストレスや不安を感じている際にはストレスの解消方法や安心グッズの使用方法などです。
最初は難しいかも知れませんが、何度も促していくことで徐々に子ども自身も対処方法を学習していくことが出来るようになります。
癇癪では解決しないことを伝える
癇癪を起こしたことで周囲の人が言うことを聞いてしまうと、間違った学習(誤学習)をしてしまい、次も意見を通そうとする際に癇癪を起こす可能性が高くなります。
そのためにも癇癪を起こしても意見を聞き入れず無いことが重要です。
また、聞き入れないだけではなく、自分の気持ちを通そうとする際には対処方法を教えてあげ、癇癪ではない方法で解決できるように促すことも必要となります。
子供の状況を確認する
子供が癇癪を起こすには何らかの欲求や不満などの理由があります。そのため。子供が癇癪を起こした際には子供の特性、その場の状況や、癇癪に至るまでの行動などを確認しましょう。
例えば「嫌な音が聞こえた」「使っていたおもちゃをお友達に取られた」「おなかが減っていた」「やりたい事を止められた」「学校の行事で疲れていた」など何らかの理由があるはずです。
癇癪の原因を突き止めることができたり、理由となる事が把握できた場合には、次回から癇癪を起こさない様に対処へと繋げることができます。
まとめ
癇癪は子供の重要な表現方法のひとつです。
発達障害の子供はその特性から自分の気持ちの切り替えや表現が難しかったり、様々な事にストレスや不安を抱え癇癪を起こしてしまいます。
子供が癇癪を起こした場合には子供本人の気持ちになり、無理の無いように放課後等デイサービスとして適切な支援を行うことが重要になります。