放課後等デイサービスの支援提供記録の書き方と内容
放課後等デイサービスの支援提供記録
放課後等デイサービスでは日々の活動の様子や、それぞれの子供へ療育や支援を提供した記録を書く必要があります。
しかしそれぞれの職員が記録をつける意味や必要性を理解していなかったり、書き方や内容がバラバラであるとせっかく書いた支援記録も意味がないものになってしまいます。
ここでは放課後デイサービスの活動の記録をつける目的や、記載すべき内容について紹介します。
支援提供記録をつける目的
放課後等デイサービスで支援や提供の記録をつける目的には、さまざまなものがあります。
療育や支援を行った証拠となる
支援提供記録をつける目的のひとつには、利用者に対して放課後等デイサービス事業者が、適切な療育や支援を行ったという証拠を残すことがあります。
放課後等デイサービスは国の法律に則り行われるサービスであり、報酬も国からの税金で賄われています。そのためサービスを提供した対価として、その額に相応のサービスを提供しているという証拠として記録を残す必要があります。
放課後等デイサービスの実地指導や監査においては、必ず確認される項目のひとつであり、行政側も重要視しています。
利用者の成長や変化を確認するため
放課後等デイサービスを利用している子供は、日々成長しており、年齢が上がるごとや生活環境が変わるごとに変化していきます。
毎日の様子を記録することにより、少し前までは出来なかったものが支援を行う中で出来るようになったり、逆につまずいてしまい習得が難しい部分などを客観的に確認することが出来ます。
定期的に行われるモニタリングの際にも、利用者の成長や発達を確認する目安としても用いることができ、今後の支援のレベルアップや支援計画やプランの変更などにも役立たせることが出来ます。
また、ここ最近子供の様子がおかしいなと思った際には、過去の記録を調べていくことで、いつから様子が変わったのを確認し、理由や原因となることを推測し、対策の検討に役立たせより良い支援につなげることができます。
職員の情報共有のため
放課後等デイサービスの支援では担当制を取っている事業所や、毎回違う職員が支援を行う場所など様々だとは思いますが、基本的には職員が違えどひとつの放課後等デイサービス事業所として子供に支援を行っています。
そのため、利用者の日々の様子を支援者同士が共有し、同じ方向を見定めて支援を行うことが重要になります。
支援の内容や方向性がその職員毎に違ってしまうと、支援の目的が意味の無いものになってしまうばかりか、子供にとって悪影響を与えてしまうことにもなりかねません。特に発達障害の子供は変化への対応が難しいため、支援内容が毎回違うと混乱してしまいます。
支援の前にはミーティングなどを行い情報共有を行っていると思いますが、口頭ので引継ぎは細かい部分まで伝えることが出来なかったり、伝えても曖昧になってしまうことがあります。
口頭での引継ぎは必要最低限にし、細かい内容の確認はそれぞれの支援者が過去の支援記録を見て確認することで、口頭での情報共有のミスを少なくすることが出来ます。
支援記録は情報共有の目的もあるため、書いたら書きっぱなしだけではなく、常に職員が見たり読み返せる体制を作っておく必要があります。
支援記録の記載内容や書き方
支援記録の書き方は法律などでは決まっておらず、各事業所独自のものであったり、使用しているソフトウェアの書式を用いていると思います。どのような書式であっても次の項目は基本的に記載をしておいたほうがよいでしょう。
利用者の出欠席
まずは利用している子供が出席だったのか、欠席だったのかがわかるように記載ないしチェックをつけます。欠席の場合も欠席加算に関係するので、欠席加算の対象になるのかや、欠席理由も記載しておきます。
欠席加算の対象の場合には、欠席の連絡の合った日、欠席の連絡媒体(電話、メール、LINE、連絡帳、送迎時の口頭)誰が受けたか、欠席の理由、次回利用日の確認、相談や調整を行った内容の記録が必要になります。
利用時間
子供が利用の際には、何時に来て、何時に帰ったかの利用時間を記載しましょう。
利用に関しては学校終了後の放課後の利用か、学校がお休みの休業日の利用なのかも加算の関係から必要になります。
送迎の有無
利用者が送迎を利用した場合には送迎の利用の有無も記録します。送迎も「送り」だけの場合「迎え」だけの場合、「送迎」両方の場合があるのでそれぞれ記載します。
送迎の場合には送迎先(自宅、学校など)の記録もあるとよいでしょう。
支援担当者
支援担当が決まっている場合には、支援担当者の名前を書き入れましょう。
サービスの提供内容
サービスの提供内容に関しては個々の子供への療育や支援内容を具体的に書きます。
事実を客観的に書く
サービスの提供内容は主観でなく事実を客観的に書くようにしましょう。
「お友達と仲良くできて微笑ましく思えました」の場合には「お友達に自分から声をかけて一緒に遊ぶことができました」のように事実を客観的に書くようにします。細かい内容がわからない場合には推測で書くのではなく「お友達とかかわる事ができました」のように事実だけを書きます。
主観や推測が入ってしまうと自分から見た感想となってしまいます。そのため、他の人からすると見方が違ったりして意見がぶつかったり、思い込みなどから事実と異なってしまうことがあるので注意が必要です。
わかりやすい文章で書く
支援記録は情報共有を一つの目的として書くため、どの職員が見ても読みやすく意味がわかる文章を書く必要があります。回りくどい言い回しなどをせず、基本的には事実を客観的かつシンプルに書きましょう。
支援記録は実地指導や外部監査などで確認をされたり、場合によっては保護者や利用者本人に見せる場合も出てくる事があります。その際にも見せて恥ずかしくない文章や、読んで意味のわかる書き方にしましょう。
手書きの場合には殴り書きなどにはせず、誰もが読める字で書くようにします。
なお、問題行動や気になる点などが見られる場合には、文章が多少読みにくくなっても、行動の様子や状況を具体的に書いておきましょう。
後から見てもわかるように書く
支援の記録は後から確認のために見返すことも多いです。子供に成長や変化が見られた場合には、それがいつから見られたのかがわかるように書くことも重要です。
また、モニタリングや新たな支援プランを作成する際にも必要となる情報になります。モニタリングや支援プランは半年や1年などの長い間隔で見ていくため、基本的には1年後に読み直しても、はっきりと内容がわかる書き方をしましょう。
記録に時間をかけすぎない
提供記録や支援記録を書くときには時間をかけすぎないというのも重要です。
中には来所から帰宅まで詳細に書きたいという人もいると思いますが、記録に時間をかけすぎてしまうと他の仕事や業務に差し支えてしまったり、職員本人の負担にもなります。
本来の業務は子供への支援や療育であるため、支援の補助的な物である日々の記録は、短い時間で要点やポイントを捕らえて簡潔に書くことも必要になります。
毎日記入する項目や、トイレやパニックの回数、「やった・やらない」「行動が見られた・見られない」のように二択で対処できるものは、チェック方式にするのも一つの手です。
まとめ
放課後等デイサービスで記載する支援記録は、その日の子供の記録だけでなく、職員の情報共有、子供の変化や成長の確認、モニタリング時や支援計画時作成時の情報など多くの面で利用されます。
実地指導や監査においては、放課後等デイサービスの運営や適切な支援を行っているという重要な証拠にもなるのでしっかりと記録として残す必要があります。
そのため、支援記録は事実を客観的に書き、後から見返しても支援の内容や文章の意味のわかるものにしましょう。