放課後等デイサービスの学校送迎の注意点

2018年10月8日

放課後等デイサービスの学校送迎の注意点

今現在、多くの放課後等デイサービス事業所が学校へのお迎えをサービスとして行っていると思います。

学校へお迎えに行くことで、送迎加算が取れる(学校送迎の加算を取るにも条件がありますが)という事業所側のメリットのほか、保護者が送迎をせずに済む、子供の学校の様子を伺える、先生から学校での状態を引き継げるなどの利点があります。

そんな学校への送迎もただ送り迎えをすれば良いというだけではありません。学校送迎をする際の注意点や、今まで感じたことなどをまとめたので紹介します。

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学校への送迎加算が適応される条件

放課後等デイサービスはただ単に学校にお迎えに行けば、送迎加算が取れるというわけではありません。

送迎加算を取れる条件は厚生労働省の『平成24年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A』の「問109 放課後等デイサービスにおける学校と事業所間の送迎加算の適用に関する条件は何か。」に詳細が記載されています。

上記Q&Aでは、放課後等デイサービスが学校送迎を行った際に、送迎加算が適応されるには以下の4条件のうち何れかに該当し、なおかつ障害児利用計画書や放課後等デイサービスの支援計画書に『条件に該当し学校送迎を行う旨』を記載する必要があるとされています。

  1. スクールバスのルート上に事業所がない等、スクールバス等での送迎が実施できない場合。
  2. スクールバス等での送迎が可能であっても、放課後等デイサービスを利用しない他の学生の乗車時間が相当時間延長する等、スクールバスによる送迎が適当でない場合。
  3. 就学奨励費で学校と放課後等デイサービス事業所間の送迎手段を確保できない場合。
  4. その他、市町村が必要と認める場合。
    (その他の例:学校長と市町村が協議し、学校と事業所との間の途中までスクールバスによる送迎を行ったが、事業所までまだ相当の距離があり、事業所による送迎が必要であると認められる場合など)

学校送迎に関して上記4項目の理解はしていても、学校送迎を行う旨を放課後等デイサービスの支援計画書に記載する事を抜けてしまうこと多いので、再度確認しておくことをお勧めします。

厚生労働省:平成24年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A(PDF)

学校送迎時の注意点

実際に学校送迎を行う際にはどのような準備や注意が必要でしょうか。
学校送迎を円滑に行うために、送迎時のルールやマナーなど確認しておくことをまとめてみます。

学校への挨拶

まず最初に、新規に学校への送迎を行う場合には、学校の送迎担当の先生にアポイントメントを取って挨拶に行くようにしましょう。

挨拶をする際には事業所の簡単な紹介などをするだけではなく、学校の送迎ルールなども確認する必要があります。

学校のルールの確認

学校送迎にいく場合には学校ごとのルールがあるので、それぞれ確認し守るようにしましょう。

主なルールには『身分証の提示』『引き受ける子供のリストの提示』『送迎車の駐車場所』『何時何分までに送迎車を到着させるか』『引き受け時の順番』『発着の順番』『トラブル対応時のルール』『校内での走行速度』『暑い日に車内クーラーをかけるためのアイドリングの有無』などがあります。

身分証の提示

学校にお迎えに行く場合には、何処の事業所の誰であるというのがはっきりとわかるように、事業所ごとのユニフォームと名札をつけるようにしましょう。

送迎に来る事業所が多い場合には車のボンネットやドア部に事業所名の入ったマグネットやステッカーを貼ったり、ダッシュボードに事業所名の用紙を置いておくと、先生も事業所を間違えることが少なくなります。

学校によっては校内に入る際にステッカーやマグネットの表示を必須としている場合もあります。

引き受けリストの提示

学校で引き受けるお子さんが多い場合には、当日利用する子供のリストを作り送迎担当の先生に手渡して確認してもらうようにしましょう。学校の先生も子供ごとに利用する事業所が違うので、混乱したり間違えたりする事も多いので先生が確認する意味でも役に立ちます。

また、手元にも同じリストを用意し、子供の乗せる際にチェックをする事で、乗せ間違えや乗せ忘れなども無くすことが出来ます。

送迎車の駐車位置や時間

学校に多くの事業所がお迎えに来る場合には、それぞれの事業所ごとに駐車位置が決まっている場合があるので注意が必要です。特にバスなどの大型の車両や、車椅子用のリフトが付いている場合には、ある程度のスペースが必要になるので指定された場所に停めていることが多いです。

送迎車が到着する時間も学校の運営方法により様々で、具体的に「何時何分から何分までの間に入校するように」と指定されていたり、「送迎バスの発車前」や「送迎バスが出た後に」などとしている学校もあります。

また、最近多いのが学校周辺の道に路上駐車をしたり、コンビニやスーパーの駐車場に停めてしまうというものです。これは間違いなく苦情や学校の近隣とのトラブルになるので絶対に止めましょう。

送迎車が発着するのにも順番を設けている学校もあります。主に学校から出る際に順番が決まっている事があるので、学校の先生の誘導や、近くの他の事業所の人などと確認をしながら安全に校内から出るようにしましょう。

引き受けの順番

学校によっては子供を引き受ける際や送迎車の発着に順番があることがあります。

引き受けの順番には学年ごとや、障害種別ごとなどがあります。車椅子やバギーに乗っているお子さんは歩ける子の後から来るということも多いです。

また、下校時に不安定になったりパニックになった子供が居た場合は、落ち着けるまで校内に残っていたりして来るのが遅くなる事もあります。

比較的多いのが帰る直前になり子供がトイレに行きたがるということがあり、トイレに行っていた関係で遅れてしまう場合があります。

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放課後等デイサービスで学校送迎時の子供のパニックの対処方法 | 放課後等デイサービスのノウハウメモ

安全の確保

学校送迎に向かった際には学校のルールに従い、安全を第一に考えましょう。

基本的になルールとして校内に入ったらエンジンを切る、エアコンや車椅子のリフト操作の関係でエンジンをかける場合には運転席に人を配置する、子供が乗った車内には必ず職員も乗車したり、人数の都合上難しい場合には子供の動きを目に入れておくなどです。

学校との情報交換や引継ぎ

学校のお迎え時は担任の先生と話が出来る数少ないチャンスでもあります。必ず学校での出来事や普段と違った様子などを聞いて引継ぎを受けましょう。

パニックなどが有る子の場合には学校でストレスを受けるような事が有ったかを確認しましょう。学校からの下校時には落ち着いていても、放課後等デイサービスの事業所に到着してから嫌な事を思い出してパニックになると言う事もあるので注意が必要です。

てんかん発作を持っている子の場合には、学校での発作の有無、発作があった場合に現在の体調、どのように対処をしたか(服薬をしているか)などを確認しましょう。

排泄が定着しておらず時間で排泄している子の場合には、何時にトイレに行ったのかと排泄の有無を確認しましょう。

偏食などで給食を食べるのが難しい子や、飲み物などが摂取出来ない子の場合には、給食や休憩などでどれだけ食事や水分を取ることが出来たのかを確認します。摂取が出来ていない場合には、放課後等デイサービスでのおやつを食べることの出来るものにしたり、量を増やしてあげるなどの対応をしましょう。

他害や他傷のある子どもの場合には、学校でそのような行為が有ったか、行為が見られた際に考えられる原因やストレスは何かを聞ききます。

場合によっては放課後等デイサービス利用時の状態などを話し、学校ではどのようにしているかなどの相談や確認をする事も必要です。

また、詳細な情報交換が必要とする子供を支援する場合には、保護者同意の元で学校との連絡ノートを作ったり、学校と電話での情報のやり取りなどを行います。

時折子供一人で送迎車両まで来てしまう事も有ったりしますが、その際には先生と一緒に来るように促したり、近くにいる先生に担任の先生がいるか確認してもらいましょう。

トラブル対応

学校送迎時にはなんだかんだで色々なトラブルが発生します。そのような場合に責任の明確化と、どの様な対応をするかを学校と事前に話し合って置きましょう。

主なトラブルには、送迎車に乗り込む際の転倒、送迎車に乗り込んでからトイレを催す、他の事業所の送迎車に乗ってしまった、放課後等デイサービス利用予定なのに学校のスクールバスで下校してしまったなどがあります。

送迎中の状態の急変、送迎車両の事故などの際の対処方法や連絡体制なども考慮し、放課後等デイサービスの責任者や送迎担当者の電話番号を伝えておくほか、学校の担当の先生の連絡先とお名前も控えて置きましょう。

まとめ

学校送迎を行う際の主な注意点や気をつける部分についてまとめてみました。
ルールとマナーを必ず守り、学校や他の事業所と連携し安全で円滑な学校送迎が行えるようにしましょう。

学校送迎は学校での子供の様子や情報を確認できる数少ない場面でもあります。
子供を引き受ける際には必ず担任や担当の先生から引継ぎを受け、子供が落ち着いて学校から放課後等デイサービスへ移行できるようにしてあげましょう。

また、実際に学校送迎を行うと、車内での嘔吐やパニック、交通事故や渋滞など思いもしなかった問題に遭遇する事も有るかと思います。
そのような場合にはまずは落ち着いて状況を確認し、自分だけでは行動せず、送迎の同乗者や事業所の上長に電話をするなどして適切な判断をしましょう。

大事なのは子供をが落ち着いた状態で安全に学校から事業所まで移動させるということです。
送迎時のトラブルで活動時間が大幅に削られてしまっても、子供を安全に送迎する事が出来たら十分だと思います。