放課後等デイサービスのおやつの意味と目的

放課後等デイサービスのおやつの意味と目的

放課後等デイサービスでは活動の中でおやつの摂取を行うと思います。

おやつは子供が楽しみな時間でも有りますが、放課後等デイサービスではただ食べさせるだけでなく、おやつの意味や目的も考えてあげるとより良い支援につながります。

放課後等デイサービスでおやつを提供する目的

放課後等デイサービスでおやつを提供するのには、食べるだけでなく支援としても様々な目的があります。

食べ物の幅を広げる

発達障害の子は感覚過敏やこだわりなどから、口にすることが出来る食べ物の種類が少ないことがあります。

唇や口腔内の感覚が過敏であると、冷たい食べ物や熱い食べ物を嫌がったり、辛い味や極端に甘い味などの刺激がきついと感じることがあります。食感も重要で、パサパサしたおやつやしっとりとしたおやつの感覚が嫌いな事もあります。

こだわりなどがあると、見た目や香りで嫌がったり、好きなおやつでも特定のメーカーで無いと食べたくないと言うこともあります。

このような問題から食べ物の偏食や偏りの有る子供も多いのですが、放課後等デイサービスでのおやつでは「その場の雰囲気で食べたり」「お友達が食べてるから僕も食べてみるか」という感じで、普段口にしないものを食べる事もあります。

また、自宅では保護者が「絶対に食べないだろう」と出さないものでも、放課後等デイサービスで提供したら食べたということもあるので、放課後等デイサービスのおやつは食べられるものの範囲を広げてあげるという目的もあります。

食事のマナーやルールを学ぶ

おやつやご飯を食べるときには姿勢、食器の使い方、準備、後片付けなど様々なルールやマナーが存在します。このような食事時のルールやマナーを学ぶのも放課後等デイサービスのおやつでは必要になります。

基本的なルールやマナーのほかにも、子供の特性に応じて苦手としている部分を支援していきましょう。

着座や姿勢を意識させる

おやつを食べるときに正しい姿勢をしたり、しっかりと座って食べることを支援するのも重要です。

筋肉の成長が遅い子や体幹が発達していない子は姿勢を保持するのが難しい場合があります。このような子には訓練の一環として、おやつの時間だけは姿勢を正すというような支援を行いましょう。

食器の扱い方の理解

食器の扱い方を学ぶのもおやつは重要な時間になります。

お箸を持つのが難しかったり、逆の手でお皿を押さえるのが出来ない子には、おやつの時間を利用して支援を行いましょう。

食器もそれぞれの子どもに適したものを用意し、お箸が苦手な子にはエジソン箸や補助具を用いたり、場合によってはフォークやスプーンを使用しましょう。

フォークやスプーンも握るのが難しい子のために、柄を太くしたり滑らない素材を用いるなどの工夫が必要です。

みんなで食べる楽しみを知る

おやつをお友達みんなと食べることも、コミュニケーションや周囲の人への意識を高めるために重要な事のひとつになります。

みんなとおやつを食べることで会話が弾んだり、食べるおやつも普段以上に美味しく感じると思います。

お友達と協力しての準備や後片付け、おやつの交換、お菓子のパッケージが開けられない子のお手伝いなど、おやつを通して子ども同士で関わりあえる部分を増やしてあげましょう。

様々な訓練を行うきっかけにする

おやつの時間は食に関する訓練以外に、様々な支援を行うチャンスです。

意思の疎通やコミュニケーションが難しい子の場合には、『お菓子を選んでもらう』『頂戴のサインを出す』『いらない・食べないのサインの練習』などが行えます。

手元などを見ない子の場合にはお菓子を意識させてお箸やフォークで取る練習、手先が上手に扱えない子にはお菓子のパッケージを開ける練習、おやつの大きさを見て大小の意識や、数を数えて個数の理解など工夫次第でたくさんの支援を行うことが出来ます。

おやつで季節感を知る

放課後等デイサービスのおやつでは、その時期や季節に合った食べ物を提供することで、子どもたちに季節感を意識を高めることも出来ます。

春ならイチゴや新ジャガを使ったおやつがあります。
夏ならフルーツではスイカやパイナップル、アイスやカキ氷やゼリーなどがあります。アイスやカキ氷などは熱中症予防や水分補給の補助としても役立ちます。

秋あんらサツマイモ、クリ、梨、リンゴ、柿があります。特に秋は様々な果物や野菜が旬であることから、お野菜などを使ったおやつも良いでしょう。

冬なら暖かいスープや肉まん、みかん、お正月にはお餅やお雑煮(提供には十分な注意が必要ですが)などがあり、クリスマスの際にはケーキなどの提供も子どもには喜ばれると思います。

野菜や果物を育てて食べる

放課後等デイサービスにお庭や菜園スペースが有る場合には、ちょっとしたフルーツやお野菜などを作り、それを調理しておやつとして提供するのも様々な学習につながります。

育てるフルーツやお野菜を選ぶことから始め、苗や肥料などの購入、世話をしての育成、収穫、そして調理と時間はかかりますが子どもたちも多くのことを学べると思います。

おやつを作る楽しみを知る

子どもたち本人でおやつを作って食べるというのも多くの学習につながります。

まずは作りたいおやつをみんなで選ぶ所から始まり、材料の買出し、調理方法の理解、調理器具の使い方や調理方法など多くのことを体験する機会になります。

包丁やピーラー、フライパンやお鍋などを扱う際には怪我や火傷には十分注意をする必要があります。基本的には職員が付いて一緒に行うようにしましょう。

また、ご利用しているお子さんに怪我などが有ってはならないことですが、包丁で手を切る、フライパンやお鍋を触って熱い思いをするという経験も、今後成長していく上では必要な体験になると個人的には思っています。

水分の補給

おやつは水分の補給を促す目的でも必要です。

特に夏場など汗をたくさんかくような暑い日には、おやつの際にアイスやカキ氷を出すのもよいでしょう。

また、こだわりなどから学校の給食の牛乳を飲むことができなかったり、水自体をあまり飲むことがない子に対しては、スープや味噌汁などの汁物をおやつに提供したり、その子専用にジュースなどの好む飲み物を用意しておく必要もあります。

食事で足りない栄養の補給

年齢の小さい子は胃の大きさも小さく、一度の食べる事が出来る量も限られています。その朝ごはんや昼食をしっかり食べても活動途中にお腹が空いてしまうことがあります。

子供は成長中であり代謝も多い事、運動量も多くたくさん体を動かすためエネルギーの消費も非常に多いため、それを補うためにおやつを必要とします。

年齢の大きい子は成長期であるため特にお腹が空きます。皆さんも中学生や高校生の時にはご飯を山盛りでお代わりしたり、何度食べても食べたりないといった経験があったと思います。

給食が食べられなかった子への対応

自閉症などの発達障害の子は、感覚過敏や様々なこだわりから、学校で給食を食べることが出来ない場合があります。

給食を食べることができないと空腹で体調不良になったり、空腹のイライラから気持ちが不安定になり、パニックや自傷行為につながることもあります。

給食を食べることができなかった子がいた場合には、来所直後におやつを提供したり、普段より多めに用意するなどの対応をとりましょう

時間の意識や活動の区切りの理解

おやつを食べる際には放課後等デイサービスの活動中にだらだらと食べるのではなく、『おやつの時間』として区切った時間枠を設けましょう。

おやつの時間を作る事で時間の意識を持たせる事が出来る他、活動や時間の区切りとして用いる事が出来ます。

また、嫌なことや注意などを受け気持ちが沈んでしまった子や、パニックなどを起こしてしまった子に対しては、気持ちを切り替えるタイミングとしても使う事が出来ます。

放課後等デイサービスのおやつの注意点

放課後等デイサービスでおやつを提供する際には、子供の特性などを考慮して注意しなければならないことも多くあります。

食物アレルギー対応

食物アレルギーを持っている子がいる場合には、対象となる食べ物を口にしないように注意します。

アレルギーの有無はアセスメントなどで事前に確認し、職員に情報共有しておく必要があります。

おやつの量の加減

あくまでもおやつは食事と食事の間食であるため、必要以上に取り過ぎないようにしましょう。

おやつを食べ過ぎると晩御飯への影響がでてしまい食事のリズムが崩れるため、生活習慣の乱れにもつながります。

肥満や太り気味などで摂食指導やカロリー制限のかかっている子に対しては、量を少なくしたり低カロリーのおやつに切り替える事も考えましょう。

病気等への配慮

心臓の病気や血圧が高いなどの症状がある子に対しては塩分を控えめにするなどの考慮をしましょう。

血糖値が高い子に対しては糖分の少ないお菓子を用意してあげましょう。

おやつはお菓子やジュースである必要はないので、病気や特別な対応をとらなくてはいけない子に対しては野菜を中心としたサラダやスープ、お豆腐などを使ったものを提供するなども方法もあります。

まとめ

放課後等デイサービスでのおやつは、間食だけでなく様々な支援の一環として行う事ができます。

子供はおやつが大好きなので、それを利用して子供が楽しみながら行える支援や指導を提供しましょう。

また、体調や空腹状況などにも考慮し、おやつのタイミング、量、種類なども考える必要があります。