放課後等デイサービスで人を傷つける他害行為が見られる子供の対処方法
放課後等デイサービスで人を傷つける他害行為が見られる子供の対処方法
放課後等デイサービスを利用する子供の中には、イライラしたときや感情が高まってしまったときに、お友達や職員に手が出てしまう特性を持っている事もあります。
他人を傷つける行為も、叩く、蹴る、噛み付く、引っかく、頭突き、引っ張るなど多種多様です。
攻撃する相手も放課後等デイサービスの職員ならともかく、お友達に手が出てしまうと怪我や事故の原因となるほか、お友達関係や保護者関係も悪くなってしまうことがあります。
他人を傷つけてしまう行動を起こす子供が居た場合にはどのような対処をすればよいのでしょうか。
なお、自分を傷つける自傷行為については以下のページでまとめています。
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放課後等デイサービスで自分を傷つける自傷行為を行う子供の対処方法 | 放課後等デイサービスのノウハウメモ
他人を攻撃する原因を知る
他人に手が出てしまう子供も、相手を傷つけたくて行っているのではなく、何らかの原因が必ずあります。手を出してしまう状態を対処するためにも原因を知ることが重要です。
イライラして攻撃してしまう
嫌なことや不安などを感じてイライラし、ストレスが溜まると人や物に手を出してしまうという事があります。他害行為で見られる原因はストレスやイライラであることが一番多く感じます。
イライラの原因も「やりたいことを阻止された」「怒られたり注意を受けた」「嫌な音が聞こえた」など周囲の人がわかる場合も有りますし、「過去の出来事を思い出した場合」や「本人にしかわからないこと」などだと、周囲の人は何が原因でストレスを感じたのかが分からず対処も困難になることが多いです。
感情のコントロールが苦手なため
ストレスやイライラは誰にでも発生するもので、イライラすると人や物に当たってしまいたくなるのは誰にでも見られる行為です。
健常者であれば、気持ちが高ぶっても感情をコントロールして抑えたり、別の方向へを向けて発散する事が出来ますが、年齢の低い子供や発達障害などの子供の場合には、感情のコントロールをする事が難しく、近くの人や物に当たってしまうことがあります。
中には自分がどれぐらい感情が高ぶっているのかが分からず、限界になった際に一気に爆発してしまうということもあるので、イライラしている様子が見られたら周囲の人が気持ちを汲み取ってあげるなどの対処が必要な場合もあります。
コミュニケーションとして叩いてしまう
自閉症などの発達障害の子供は会話が出来なかったり、言葉を話せても状況に応じた適切な会話が出来ず、コミュニケーションに困難を抱えている子も多くいます。
適切な言葉を話せれば周囲の人を呼んだり、自分の思いや気持ちを伝えることが出来ます。しかし、自分の感情を他人に言葉で教えられないと、気づいて貰いたい為に手を引っ張ったり、意志を伝えたいために体を強く叩いたりする事があります。
また、コミュニケーションを上手にとることが出来ないと、お友達に対しても挨拶代わりで叩いたり、一緒に遊びたいが為に手や服を引っ張る行動を見せることもあります。
コミュニケーションの一環として人に手が出てしまう場合には、軽く手を引く、肩をトントンと叩くなど、適切なコミュニケーション方法を教えてあげる必要があります。
人の反応を楽しんでいる
相手を叩いたり引っ張ったりする事で、相手が起こす反応を見て楽しんでいるということもあります。
これもコミュニケーションが上手に取れないために見られる行動ですが、手を出すことで相手が怒ったり、周囲の職員が注意をする行動自体をコミュニケーションとして楽しんでいる場合があります。
注意をしているつもりで手が出てしまう
お友達に注意をしているつもりで、手が出てしまうという場合も有ります。
音に敏感な子だと、お友達が大きな声を出した際に「やめて!」という様子で叩きに行ったり、髪の毛を引っ張ったりする行動を取る子もいます。
これも言葉を上手に発する事が出来ない子供に多く見られ、注意をする際に関しても叩いたりするのではなく「バツサイン」を出すなど、適切な方法を教えてあげる必要があります。
感覚遊びの一環として叩いてしまう
自閉症などの発達障害の子供は、外部からの刺激を得るために様々な感覚を取り入れようと感覚遊びをする事があります。
通常の感覚遊びというと、ボールプール、粘土遊び、ブランコ、トランポリンなど、五感を刺激するものですが、発達に遅れのある子供が自分から行う感覚遊びには、手をヒラヒラさせる、拍手、体を揺らす、頭を叩く、指を噛むなど単純な動きを行うことが多いです。
そんな感覚遊びとして、人を叩いて刺激を得る、人に頭突きをして頭部への刺激を得る、他人の髪の毛を引っ張る(触る)などの行動を取ることがあります。
力の加減が出来ないため
筋力の発達の遅れや、体の動きを調整する感覚の未発達から、力の加減をするのが難しい子供もいます。
力の加減が難しいと、本人としてはやさしく「トントン」と叩いているつもりでも、実際には「バシバシ」と叩いてしまっていて、周囲から見ると攻撃しているように見えてしまっている事もあります。
感覚が鈍くなる感覚鈍磨という特徴を持っていることもあり、このような場合には痛みに対しての感覚も鈍くなることもあり、自分では痛くないと感じている強さで叩いていても、相手にしてみれば痛いと感じる強さだということもあります。
お友達を攻撃してしまう子供の対処方法
放課後等デイサービスの活動の中で、お友達に対して手が出てしまう子供への対処方法には、その子の状態や特性、攻撃してしまう原因などを見つけて対処する必要があります。
子供の状況を確認する
お友達へ手が出てしまう子が放課後等デイサービスを利用する際には、その子供の状況を確認する事が重要です。
学校から来るときには学校の先生から状況の引継ぎを受け、自宅からのご利用の際には保護者から家での様子を確認しましょう。
放課後等デイサービスでは仲の悪い子や苦手なお友達がいるかなどを確認し、座る位置や活動内容などにも配慮を行いましょう。
放課後等デイサービスに来所した際には本人の様子を良く見て、適切な対処を取ることが重要になります。
距離を取る
周囲の人に手が出てしまう場合には、お友達から離したり、お友達に距離を取ってもらうようにしましょう。パニックの場合などによっては職員も距離を取るなどの必要があります。
お友達に手が出てしまう状況の場合にはパニック状態であることも多いので、子供本人を移動させる事が難しい場合には、周囲のお友達を別室に移動させるなどの対処を取りましょう。
重度の身体不自由などの子や視力が極端に弱い子供の場合には、悪気がなくても周囲の様子を確認しようと手を伸ばして物を強く掴んだりする事があります。このような場合にも周囲のお友達に手が伸びない程度に距離を取ったり、お友達との間に職員が入るなどの方法を取りましょう。
ストレスの発散やクールダウンをさせる
イライラしている様子が見られたら、ストレスを発散させてあげたり、クールダウンをして気持ちを切り替えてもらいましょう。
ストレスの発散方法も子供により様々ですが、外にお散歩やドライブに行く、体を動かす、おやつを食べる、好きな活動を行うなどがあります。
クールダウンをしたほうが良い場合には、静かな個室で落ち着くまで休憩をしてもらう、個室が用意できない場合には毛布や布団に包まってもらったり、イヤーマフやアイマスクなどで周囲からの刺激を遮断するという方法があります。
対処グッズを用いる
人に手が出てしまう場合には、人ではなく別の対処グッズを手渡すという方法もあります。
人を噛んでしまう子どもの場合には、イライラする様子が見られたら噛んでも良いタオルを手渡したり、赤ちゃん用の歯がためツールなどを手渡して噛んでストレスを発散してもらいます。
人を抓ってしまう場合には、ストレス発散用の握ったり抓ったり出来るシリコン製のボールを使ってもらうなどの対処方法があります。
手袋などを使う
お友達を抓ったり、掴んでしまうという場合には、手袋をつけてもらうという方法もあります。特に送迎の車内など狭い空間では、掴まれたり引っかかれたりするという事も多くなるので役立ちます。
他人を掴んでしまう子の場合には掴まれた子に痛みや傷が残らないように厚手の手袋をつけてもらったり、手を離しやすいようにスベスベした素材のを選ぶようにします。
抓ってしまう子の場合には厚手の手袋にしたり、指先が繋がっているミトンタイプの手袋を用いると良いです。
また老人の介護用品として自傷防止のミトンなども販売されているので、状況によっては調べてみるのも良いかと思います。
なお、本人の意思に反して手袋などをして行動を制限するのは身体拘束に当たります。このような状況で手袋を使用する場合には、保護者や本人への事前の同意、使用する際の状況判断(切迫性・非代替性・一時性)、使用後の報告と使用記録を残す必要があります。
子供の気持ちに寄り添う
イライラしている様子が見られたら、本人の気持ちに寄り添ってあげることも重要です。
特に言葉で感情を表現出来ない子の場合には、気持ちを代弁してあげることで自分の思いが伝わったと感じ、手を出すという行動を抑えられる事もあります。
手を出さなかったことを褒める
手を出してしまう子が手を出さずに我慢できたり、気持ちの切り替えが出来た場合には、そのことを褒めてあげましょう。
褒めてもらうことで自信にもなるだけでなく、感情のコントロールや気持ちの切り替え方法を学ぶことにも繋がります。
活動内容を調整する
お友達に手を出してしまう子がイライラしていたり、落ち着かない様子が見られた場合には、放課後等デイサービスの活動内容を変更したり、本人だけ別メニューにするなど調整も必要になります。
調整の内容には「本人が落ち着ける個室で活動を行う」「本人が好きな活動を中心に行う」「ターゲットとなり得る子が居た場合には活動場所を別室にする」「最初に体を動かす活動を取り入れストレスを発散させる」「先におやつの時間にする」など、状況を見て適切な調整を行いましょう。
代替手段をとる
お友達への反応や関わりを持ちたいと手が出てしまう子の場合には、叩いたりするのではなく、ハイタッチや握手など代替手段をとるようにしましょう。
また、職員が間に入り、「○○君が遊びたいって言ってるよ」など、気持ちを代弁し、コミュニケーションを補助してあげるなども効果があります。
まとめ
放課後等デイサービスでは多くの子供が利用するので、他人に対して手が出てしまう子は注意をするとともに対処が必要になります。
お友達や職員を攻撃してしまうのには必ず理由があるので、まずは本人の状況や気持ちになり、原因を調べて対処してあげましょう。原因が分かる場合には原因となるものを取り除いたり、ストレスの発散方法を教えてあげることも重要です。
学校後の利用の際には、先生に怒られた事や、学校でのイライラを引きずってくることがあるので、学校の先生からの引継ぎをしっかり行うことが大切です。