指示に従うのが難しい子供への放課後等デイサービスでの支援や対処方法
指示に従うのが難しい子供への放課後等デイサービスでの支援や対処方法
発達障害の子供の中には、その特性から指示に従うことが出来ない場合があります。
指示通りに動くことが出来ないと集団の輪を乱してしまったり、場合によってはいう事を聞かないワガママな子だと思われることもあります。
しかし、実際には指示を無視している訳ではなく、内容自体が理解できていない、聞いた内容を忘れてしまう、指示を受けても実行するまでに時間がかかるなど、様々な理由があります。
ではどのような理由から発達障害の子が指示に従うのが難しいのでしょうか。
発達障害の子が指示に従うのが難しい理由
発達障害の子が指示に従うことが難しい理由を具体的に紹介します。
指示の内容が理解できない
発達障害の子はその知的な遅れや物事への理解力の問題から、指示された事が理解できていないという場合があります。
指示の内容が理解が出来ないのにも、『指示の内容が難しい』『一度に複数の指示が有った』『指示が具体的で無く曖昧』など様々な理由があります。
指示されたことを忘れてしまう
一時的な記憶能力であるワーキングメモリが弱いのも、発達傷害の子に見られる大きな特徴のひとつです。
ワーキングメモリとは、行動に移す間の短時間に情報を記憶したり、記憶した情報の内容を処理するというもので、指示を受けてから動き出すという行動を行う際に使われます。
ワーキングメモリの例としては「鞄から国語の教科書を持ってきて」と指示された際に、「国語の教科書を持ってくる」という事を記憶しながら鞄のある場所まで移動すると言った際に使われます。
ワーキングメモリの能力が高いとしっかりと目的を覚えており行動できます。しかし、この力が弱いと指示を受けた際には内容を覚えているものの、行動をしているうちに忘れてしまい、結果として指示に従えないと思われてしまいます。
指示内容の実行方法が分からない
指示内容の理解や行うことを覚えていても、指示内容を実行に移す方法が分からないということもあります。
内容を理解していても、どのように行ってよいか分からない場合には、そのまま動けなくなってしまい指示内容を実行できません。
例えば「教室の掃除をして」といった指示の場合、教室の掃除をしなければならないことは理解できますが、何から行えばよいのか、ホウキや掃除機を使うのか、雑巾をかけるのか、椅子やテーブルを退かすのかなど具体的な方法が分からないという事もあります。
指示の実行タイミングがわからない
指示を受けても行動に移すタイミングが分からないという事もあります。
実行に移すタイミングが分からず中々行動に移せないため、指示に従うことが出来ないと思われてしまうこともあります。また、タイミングを計っている間に指示内容を忘れてしまう場合もあります。
指示の実行までに時間がかかる
発達障害の子は指示を受けてから行動に移すまでに時間がかかることもあります。
まず、指示を受けた内容を頭の中で考え、理解するまでに時間がかかる場合があります。
行動に移す際にも、頭の中でシュミレーションや予行練習をする事もあるので、指示を受けてから実際に動き出すまでに時間がかかってしまいます。
場合によっては考えたりシュミレーションを行う為に動きが止まり、周囲の人から見たら指示を聞いていない様に見られることもあります。
他の事に気が向いてしまう
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の特性を持っている子の場合には、指示を受けている最中も別のことに気が向いてしまい、指示内容が頭に入らないことがあります。
また、指示を理解して実行しようとしても、気になる事があると優先順位を変更して気になることを優先したり、場合によっては指示内容が頭から抜けることもあります。
指示に従うのが難しい子供への放課後等デイサービスでの支援や対処方法
指示に従うのが難しい子に対して、放課後等デイサービスではどのような支援を行えば良いのかを紹介します。
理解が出来たか確認をする
指示を出した後は、理解が出来ているか確認を取るのも重要です。
確認をする際には指示の内容だけではなく、具体的に何を行うかまで理解が出来ているか、やることの手順を説明してもらったり、何を使うかなど細かい部分まで確認するとよいでしょう。
指示内容が分からなかったり忘れてしまった場合には、指示を出した人に「わかりませんでした」「もう一度お願いします」など再度確認することを教えましょう。
指示内容を表示する
言葉だけの指示では理解が難しい場合や、指示を直ぐに忘れてしまうような場合には、指示内容を張り出したり、黒板やホワイトボードに書いておきます。
指示内容を表示することで、言葉だけでは理解が難しい子でも、視覚からの情報で確認が行えます。
指示内容表示していると、指示を忘れた際にも再度見て確認できるので、ワーキングメモリが弱い子や、他の事が意識が集中してしまう子にも効果があります。
また、指示内容を文字で書くだけでなく、写真や絵カードを表示することで、より内容が分かりやすくなります。
指示を適切に出す
指示を出す際にも適切に出すことが重要になります。
指示を出す際には子供が分かりやすい言葉で伝えること、1つの指示で伝える内容を少なくすること、曖昧な内容を伝えない事を心がけます。
複数の内容を指示する必要がある場合には1つ1つに分解し、1つの指示が実行できたら次のことを伝えるようにします。
また、発達障害の子は曖昧な表現は理解が出来ない事があるので、指示の内容は具体的に伝えましょう。
例えば数で表現できる場合には「たくさん」では無く「10個」と伝えます。「服装をちゃんとして」などの場合には「シャツをしまって」「ボタンを付けて」と具体的に直す部分を伝えてあげましょう。
お手本を見せる
指示自体を理解していても細かい内容ややり方がわからないという場合には、放課後等デイサービスの職員がお手本を見せてやり方を教えてあげましょう。
ある程度できる場合には、難しいと感じている部分や理解が出来なかった部分だけを手伝ってあげます。
近くにお手本となるようなお友達がいる場合には、お友達のやる様子を見せ、行うことの理解やイメージを持たせてあげましょう。
実行するタイミングを教える
実行するタイミングが分からず行動に移すことが出来ない場合には、放課後等デイサービスの職員が声をかけて行うタイミングを教えてあげます。
考え込んでいたり行動の切り替えに時間がかかっている場合には、時間を確保して待ってあげたり、事前に時間を決めて「○○分になったら行うよ」などと伝えてあげましょう。
まとめ
発達障害の子供はその特徴から、指示に従うことが難しい場合があります。
指示に従うのが難しい子の場合には、指示自体を理解しているか、指示を忘れてしまうのか、切り替えや実行に時間がかかってしまうのかなど、子供一人ひとりがどの面でつまづいているのかを見極めて適切な支援やフォローを行ってあげる必要があります。
指示は従わせるだけでなく、上手に行えた場合にはしっかりと褒めてあげたり、スムーズに行うことが出来なくても、次回に繋げられる様に支援をしてあげましょう。