勝ち負けや順位にこだわる子への放課後等デイサービスでの支援と対象方法

勝ち負けや順位にこだわる子への放課後等デイサービスでの支援と対象方法

発達障害の子は勝敗のある遊びやゲームでの勝ち負けにこだわったり、スポーツでの順位に固執する事があります。テストでは満点や100点を取れないと納得しないという場合もあります。

また、勝てなかったり1位でないと泣いたり、癇癪を起こしたり、場合によってはパニックに近い状態になってしまう子もいます。

そのような特徴を持つ子は、なぜ勝ち負けや順位にこだわるのでしょうか。その理由と放課後等デイサービスで行える支援と対処方法を紹介します。

勝ち負けや順位にこだわる理由

自閉症や発達障害の子供はその特徴により、負けた際のイメージや見通しがもてない場合、気持ちの切り替えが難しい事などから、勝敗や順位や得点に強くこだわる事があります。

1位や勝ち以外を想定できない

発達障害の子は予想や予測をすることが難しかったり、見通しの付かない事への対応は難しいという特徴があります。

子供が勝負事をするときに勝つイメージは持っていても、負ける事までは考えることは無いと思います。

そのため、いざゲームや遊びで負けてしまうと、予想をしていなかった結果になり、焦ったり混乱してしまいます。

負けた際の対処方法がわからない

負けた時の予想をしていないため、負けた際の対処が出来ないこともあります。

負ける事を必要以上に『失敗』や『駄目な事』と感じている場合もあり、負けてしまうと取り返しのつかないことになったと感じる事もあります。

負けた際に焦りや不安や恐怖などのストレスを感じる事もあり、気持ちの面でも対処できない場合もあります。

負けたことに嫌な思い出がある

過去に負けて悔しいと感じたり、順位が悪く恥ずかしい思いをした記憶があると、負けたことを悪いことや恥ずかしいことと思っていたり、気持ちの面から不安や恐怖を感じる事があります。

発達障害の子は様々な面が苦手なことが多いため、成功体験よりも失敗体験の方が多くなりがちです。そのため負けや悪い順位を取るのは『失敗』と感じている事もあります。

負けた事をきっかけにフラッシュバックやタイムスリップ現象などで、過去の負けた記憶が急に思い出されて混乱することもあります。

勝ちへのこだわりが強い

勝ちや1番などへのこだわりが強い子の場合、負けたり良い順位が取れないと、自分の中のこだわりが崩れてしまい不安を感じてしまうことがあります。

自分が1番だというマイルールを持っている子の場合、負けることでルール違反を犯したと感じてしまうこともあります。

ゲームや遊びではその内容を楽しむだけでなく、『勝たないと』と勝つこと自体が目的となってしまう子もいます。

親や先生から叱責されるため

学校のテストや成績で、本人以上に親や先生が得点や順位を気にしている場合は、良い得点や順位を取れないことに対しての不安からこだわりが見られることがあります。

特に学力や成績などに厳しい親御さんの場合「何で間違えたの?」「もっと出来なかったの?」などと無意識に言ってしまいますが、子供はそのことをとても気にしてしまい、恐怖や不安から良い得点や順位を取ることに固執やこだわりを持ってしまいます。

お友達と比較されるため

学校などではテストの得点や学力の順位、スポーツ速さや上手さなど、意識をしていなくても比較されてしまうことがあります。

親や先生など周囲の大人は気にしていなくても、子供たちはお友達との比較や、お友達より優位に立ちたいと、順位や勝ち負けにこだわる事もあります。

特に年齢の低いころは、テストの点や足の速さなど、単純に分かりやすい部分を基準に子供間での人気やヒエラルキーが出来ることがあり、大人が気にしないチョットした部分でも勝ち負けにこだわることがあります。

勝ち負けや順位にこだわる子への対処方法

勝ち負けや順位にこだわる子に対しては、その子の発達状況や理解力を考え、放課後等デイサービスの活動の中で、勝負への意識や負けた際の対応方法を教えてあげましょう。

勝敗や順位が付くことを事前に説明する

勝ち負けのある遊びやゲームを行う際には、事前にルールを説明し勝敗や順位が付くことを説明してあげましょう。

ルールを説明することで見通しがつき、負けてしまうことや1番が取れないかもしれないというイメージを持たせることができます。

順位が付くものには1位だけでななく2位や3位でも凄い事や、2番勝ちや3番勝ちでもビリでは無いということを伝えることも必要です。

負けた際の対応方法もルール化する

負けた際の対応方法もルール化し事前に説明をすることで、負けてしまうこと自体もゲームや遊びの一環として取り入れるという方法もあります。

例えば負けてしまっても1度だけ再挑戦できるというルールや、負けた人は勝ったを褒めてあげるなどです。

負けた際にどうすれば良いかわからないと見通しがつかず不安になることも多いですが、負けてしまった場合の対策もルール化しておくと安心につながります。

特に発達障害の子は、ルールや決まりごとに従った方が行動しやすいという特徴もあるため、負けた際のルール化は効果があります。

負けた際の対処方法を教える

負けてしまった際の対処方法がわからず混乱してしまう場合には、負けてしまった場合にはどうすれば良いのかを教えてあげましょう。

何度も行えるゲームの場合には『もう一度挑むことができること』、すぐに行えない場合には『次回挑戦すればよい』ことなどを教えてあげましょう。

負けたことが失敗や駄目なことだと思っている場合には、負けてしまっても悪くは無いことや、負けても良いこと、負けても何も悪いことは起こらない事などを教えてあげましょう。

場合によっては負けてしまったことを認めて我慢する、なぜ負けてしまったかを確認させ次回に活かす方法などを伝えることも重要です。

勝負の経験を重ねる

負けてしまった際に納得が出来ず泣いてしまうといった子でも、機会を見て何度か勝敗のつくゲームや遊びを行うことで、徐々に勝敗や順位への理解が深まり、負けた際の気持ちの切り替え方や対応方法を学ぶことができるようになります。

実際に椅子取りゲームなどで負けると泣いてしまう子がいましたが、機会を見て何度か行っていくと負けても不満そうな顔はするも泣かなくなり、その後は負けても「もう一回やろう」「次は負けないぞ」と勝負自体を楽しむようになった経験があります。

学校や社会では他人と比べられたり明確な順位が付く体験をすることも多く、その際に負けた経験が無いと対処が出来なくなってしまいます。勝つ事だけでなく負ける経験も重ねて、気持ちの落ち着け方や対処方法、負けを教訓に次に繋げる事などを学ぶのも重要です。

負けて悔しい気持ちを汲み取ってあげる

負けて悔しいと感じたり怒ってしまう子がいたら、職員がその気持ちを汲み取ってあげるのも重要です。

自分で気持ちを表現できる子には怒ったり泣いたりするのではなく、その悔しい気持ちを話してもらったり、場合によっては思いを受け止め代弁してあげましょう。

負けて悔しいという気持ちを周囲の人が理解してくれていると子供のわかると、気持ちをスムーズに切り替えたり落ち着かせる事ができる場合もあります。

また、勝敗が付くということは相手がいるという事を理解させるのも重要で、遊びやゲームの中で相手を意識させるほか、自分が勝った時に負けたお友達が思っていること考えてもらうのも重要です。

テストではバツや得点を書かない

テストが満点ではないと納得いかなかったり、バツが書かれることを嫌がるような子の場合には、テストにバツや得点を書かないという方法もあります。

間違ってしまった場所はバツをつけず、間違ったことだけを伝え再度やり直してもらいます。やり直して正解となったところで丸をつけ、点数も満点にしてあげると明確にバツや悪い得点を見ないため納得できます。

まとめ

勝ち負けや順位にこだわる子はただワガママなのではなく、様々な理由から勝つ事や1位になることに執着しています。

まずは、子供の特性や発達状況、そのときの場面などを確認し、なぜ勝ち負けや勝敗にこだわっているのかを理解する必要があります。

放課後等デイサービスではゲームや遊びや競技を通して、勝負事や勝ち負けの経験を増やし、対処方法や気持ちの折り合いをつける方法などを学ばせてあげましょう。