放課後等デイサービスで人と関わるのが出来ないときの支援や対処方法

放課後等デイサービスで人と関わるのが出来ないときの支援や対処方法

集団での活動を行う放課後等デイサービスの中で、お友達に興味を持ったり一緒に遊ぶのが難しいという子が見られるときがあります。

自閉症などの発達障害の場合は、その特性から他人との関係を築くのが苦手だったり、人と関わるのが嫌いで一人で過ごしたいという子もいます。

子供本人としては人と関わらないほうが楽なのかも知れませんが、周囲としてみればお友達を作ってもらったり、楽しんで遊んでもらいたいと思うものです。

また、社会に出ると少なからず他人との関わりを持たねばならないため、人にも興味を持ったり、必要に応じて他人への関わりを持ってもらう必要があります。

では、お友達と関わることが難しい子供には、放課後等デイサービスにおいてどのような支援方法が有効なのかをまとめてみました。

人と関わるのが難しい場合の対処方法

放課後等デイサービスにおいて人と関わることが難しい子供が居た場合、活動の内容を工夫したり、職員が間に入ってフォローをするなどして、人との関係をはぐくんであげましょう。放課後等デイサービスで行える代表的な支援や対処方法には以下のものがあります。

係りや当番などを任せる

始まりの会での出席を取る係りや、おやつの配膳、課題を配るなどの係りをお願いし、お友達とのかかわりを徐々に増やす方法もあります。

始まりの会では出席を取る際にお友達の名前を呼んだり、お友達にタッチや握手をするなどで、お友達の名前と顔を覚えながら関わりを持つことができます。

おやつの配膳や課題を配るなどの係りでも、お友達の名前を呼んで手渡すという関係が出来るとともに、お友達から「ありがとう」と感謝されることで、気持ちのやり取りとともに自信や達成感にも繋がります。

グループや集団での遊びや活動を行う

放課後等デイサービスの活動の中で集団で行うゲームや遊びなどを取り入れて、皆で楽しむということも重要です。

ゲームや活動を一緒に行い楽しむ中で、お友達と直接関わりを持つことが出来なくても、同じ輪の中で楽しめたという経験をつむ事が出来ます。

グループ活動では数人で協力して行うものや、リレーのバトンのように誰々さんから手渡され誰々君に渡すといった順番を意識したものなども取り入れると良いでしょう。

集団活動に進んで参加するのが難しい場合には少しはなれた場所で見学をしてもらったり、子供が参加することが出来ると思った部分だけでも参加してもらうという方法をとっても良いです。グループ活動の最中に辛いと感じた場合には、途中で抜けてもらったり、見学してもらうという対処も必要です。

お友達から声をかけてもらう

自分から人と関わるのが難しい場合には、面倒見の良いお友達や、仲の良いお友達、顔見知りのお友達から声をかけてもらうという方法があります。

自分からは声をかけられなくても、人から声をかけられればそれに対して何らかの返事をすることができる場合も多く見られます。

友達が声をかけても言葉で答えることが難しい場合には、手をあげる、握手をするなどサインを出してもらう方法もあります。

サインも何も出せず答えることができなくてもその子を注意したりせず、時間をかけて徐々にお友達との関わりがはぐくめるように支援をしましょう。また、声をかけてくれたお友達にも「今はお返事をするのが難しいからまた声をかけてあげてね」というようにフォローしてあげることも重要です。

少人数からかかわりを持つ

感覚過敏などで大人数の声や動きなどの刺激に弱かったり、多数の人とのかかわりが難しいという子供の場合には仲の良いお友達とのペアや、少人数のグループでの活動から行うと良いでしょう。

少人数でも人と関わっているうちに疲れてしまったり、ストレスや不安を感じてしまった際には、それ以上は無理に行わず一人の環境で落ち着けるように対処をしてあげましょう。

同じ特性や近い発達段階のお友達と関わる

学年や年齢に差が有ったり、知的な面や会話などのコミュニケーション力の能力に極端な差が有ると、お互いに関係が成り立たない場合があります。

そのため、似た特性や特徴を持っている子や、同じ発達段階のお友達と活動をすると関わりが持ちやすいこともあります。

お手伝いや手助けを頼む

自分よりも年下の子や、障害の重いお友達のお手伝いや手助けを頼むことで、対人関係を作ることが出来る場合もあります。

ちょっとした例ですが、身体に障害を持っている子や言葉を発する事が出来ない子が多く居た放課後等デイサービスに来た子が、当初は「俺はこいつら障害者とは違うんだ!」とお友達と関わろうとしなかった事がありました。

そんな際にその子に対して、事有るごとにお友達のお手伝いを頼むようにすると、最初は「何で俺が・・・」のような態度で嫌々行っていましたが、半年ぐらいするとお友達に対しても優しくなり「○○君は歩けないから、俺が持って行ってやるよ」と荷物を持つ手助けをしたり、自分から困ってることが無いかお友達に聞きに行ってくれるほどに成長したことがあります。

本人の得意なことや好きなことを行う

お友達と関わることが難しい子が得意とする事や好きなことをテーマにして、お友達と関わるという方法もあります。また、お友達の前で好きなことの発表をしてお友達に褒めてもらい自信をつけたり、共通の話題を持つなどして関係を持つということもできるでしょう。

相手の好きな事には興味を持つことが出来なくても、自分の興味の範囲にお友達が入ってきてくれることで、自分から話題を提供したりお友達と同じテーマで楽しむということに繋がることもあります。

職員や大人が間に入る

お友達と上手に関わることが出来ない場合には、間に職員や大人が入って仲をとりもったりフォローをすることも重要です。

間に入るだけでなく、お手本を見せたり、子供本人が上手に関係を持てるように誘導し、上手に出来たら褒めて自信をつけてもらうといいった事も行いましょう。

物の取り合いなどから関わる

お友達との関わりを持たない子でも、興味のある物には手を出したりするという子も見られます。たとえばお菓子や食べ物だったり、好きなオモチャや絵本だったりです。

このように物に興味がある場合には、あえてお友達と取り合いをする事で、他人への理解や物の貸し借りなどのルールを意識させるきっかけに繋げることも出来ます。

お友達に対し興味を持たせる活動を行う

自閉症などの子の場合、人に対して興味を持たなかったり、人の特徴が覚えられず人物の違いや区別などが出来ないということもあります。そのため、お友達の特徴を意識できるような活動を行うことも効果があります。

たとえば絵の上手なA君という子が居たら一緒にお絵かき活動を行い「A君は絵が上手」「A君にリクエストすれば好きなキャラクターの絵を書いてくれる」というように特徴を掴みやすい関わりを持たせましょう。

まとめ

人と関わるのが苦手な子の場合には、タイミングを見極めてそのつど効果的な方法で人と関わる経験を増やしてあげましょう。

なお、無理に関わらせるとストレスを感じたり、疲れてしまったりする事もあるので、本人のペースで行うことが必要です。

人とある程度関われるようになったら、適度な関わり方や、人からの誘いを断る方法なども教え、社会生活に必要なコミュニケーションの幅を広げてあげることが必要になります。