お喋りや会話が止められない子への放課後等デイサービスの支援と対処方法

お喋りや会話が止められない子への放課後等デイサービスの支援と対処方法

発達障害などの子には授業中や人が喋っている時に我慢ができず、自分が話す場面ではないのに話をしてしまうという特性を持つことがあります。

授業中に勝手に喋ってしまうと進行が妨げられますし、人が喋っているときに割り込んで話してしまうと会話が成り立たないばかりか、相手がいやな思いをすることがあります。

公共の場や静かにするべき場面でも状況にそぐわず話をしてしまい、周囲の人からマナー違反だと見らることもあります。

そのようなお喋りや会話がとめられない子に対して、放課後等デイサービスではどのような支援や対処を行えばよいのか紹介します。

子供がおしゃべりを止められない理由

子供が場の状況などを理解しておしゃべりを止められないのには、さまざまな背景が考えられます。まずは、子供がお喋りや会話を止めることができない理由を知ることが重要です。

多動性の特性が強い為

発達障害の分類のひとつに、ADHD(注意欠陥・多動性障害)というものがあり、主な特徴として『多動性』というものがあります。

多動性とはじっと落ち着いているのが難しく、つい体が動いてしまったり、体の動きを止められず辺りを走り回ったり飛び跳ねたりすることがあります。

この多動性の特徴の中にはお喋りや会話を自分で止められなくなる、口の多動とも言える行動が見られることもあり、静かにするが困難になります。

衝動性の特性が強い為

『衝動性』もADHD(注意欠陥・多動性障害)に見られる主な特徴のひとつです。

『衝動性』が強いと、思ったことや頭に浮かんだことを、突発的に行動する事があります。

会話においても「今は静かにする場面だ」と分かっていても、頭に話したいことが浮かぶと突発的に話をしてしまいます。

場の状況の理解ができないため

その場の状況や場の雰囲気を感じ取って理解をするのは、発達障害の子にとって非常に難しいものになります。

場の状況や雰囲気というものは具体的に見えるものではありません。

発達障害の子は目に見えない物を理解するのはとても苦手であるため、その場での状況の理解が難しくなります。

そのため、本来なら静かにしていなくてはいけない場面でも、大きな声でベラベラと話をしてしまうことがあります。

ルールや決まりごとを忘れてしまうため

「静かにする」というルールや決まりごとが分かっていても、その事をすぐに忘れてしまうのも発達障害の子には見られやすい傾向です。

最初はルールを覚えているので『静かにしなくては』と思っていても、他のことに気が向くと頭からルールが抜けてしまいお話を始めてしまいます。

また、発達障害の子は後から入った情報の方が重要なことだと思い込みやすいので、「静かにする」という決まりごとよりも、その後に思った「話したい」という思いのほうが重要性が高いと感じてしまう事もあります。

お友達と話したいため

静かにしなくてはいけない場面でも仲の良いお友達がいると、つい話したくなってしまことも子供には多くみられる特徴です。

また、他の子が話しているのを見かけると、釣られて話してしまうこともあります。

お喋りや会話が止められない子への支援方法

お喋りやお話を止めるのが難しい子に対して放課後等デイサービスではどのような支援や対処を行えばよいのかを紹介します。

会話のルールを明確にする

会話の際のルールや決まりごとを子供でもはっきりと分かるような内容で、明確に定めましょう。特に発達障害の子は曖昧な状態よりもルール化される方が、物事への決まりごとが理解しやすくなります。

ルールにおいては『会話をして良い場面と悪い場面』『会話の順番』『話してはいけない場所』など状況に合わせて定めておきましょう。

会話の場面

会話の場面に関しては『勉強中は静かにする』『先生や職員やお友達が話しているときは静かにする』『式やイベントの最中は話さない』などです。

話してはいけない場面の切り替えが分かりにくい子の場合には「今から静かにします」など声かけをしたり、タイマーをセットして時間で区切るようにしましょう。

会話の順番

人の発言中やお友達が話をしている際に、割り込んで話し出してしまう子の場合には、話す順番を伝えてあげましょう。

会話に関してはお互いが交互に話すということを伝えます。トレーニングの一環として職員やお友達と交互に話す事で会話のキャッチボールの練習や、自分の言いたいことだけでなく相手の発言も聞くという事を行うと良いです。

発表などの場合には発表順にネームカードを並べ、視覚からも理解できるようにすると効果的です。

授業のような場合に勝手に発言してしまうときは、挙手をして指名されたら発言ができるというルールを作って守ってもらうようにします。

話したいがために挙手ばかりしてしまう場合には、挙手の上限回数を決めるという方法も良いでしょう。

話してはいけない場所

病院の待合室や店内、図書館や役所の窓口、電車やバスなど、社会にはあまり大きな声で話さない方が良いという場所も多く存在します。

放課後等デイサービスの外出活動で、このような場所に出かける際には、事前に話してはいけない場所や理由などを伝えておきましょう。

静かにする理由を伝える際には、病院では「体の調子が悪い人がいるため」「大きな声や音が苦手な人がいるため」など、図書館や役所では「お勉強やお仕事をしているため」のように、子供が理解しやすいよう具体的に教えてあげましょう。

ルールを見えるように提示する

発達障害の子は言葉を聴いて理解するよりも、目から見た情報を理解する方が得意な傾向にあります。

そのため、『静かにする』という指示を言葉で伝えるとともに、黒板やホワイトボードに書いて目からも理解できるようにしましょう。

目に見える位置にルールが記載されていることで、途中でルールを忘れてしまった際にも再度確認して意識をしなおす事ができます。

好きなお友達とは距離をとる

お友達がいるとついお話をしてしまう場合には、勉強や課題中にはお友達と席を離したり、お友達が目に入らないように机の向きを変えるなど工夫をしましょう。

お話をさせないだけでは不満などもたまってしまうので、休み時間やフリータイムなど自由にお話ができる時間も作ってあげましょう。

まとめ

お喋りや会話を止めるのが難しい子は、障害特性など様々な背景を抱えている場合があります。

放課後等デイサービスで支援や対処を行う際には、その子の特性をしっかりと理解し、適切な対応を行うことが必要になります。

お話をしてしまう子への指導には静かにさせるだけでなく、静かにできたら褒めてあげるということも重要になります。

教室での授業やグループでの活動の場合には、対象の子本人だけでなくお友達全体も静かにできたことを褒めてあげましょう。

お話をしたい子に話しては駄目だという指導だけでは、子供にストレスがたまってしまいます。重要なのは話して良い場面と駄目な場面を理解してもらい、話してよい時には自由に会話をしてもらい、我慢する場面ではしっかりと守ってもらえるようにメリハリのある支援をするようにしましょう。