列に並んだり順番を守ることが出来ない子供への放課後等デイサービスでの支援や対処方法
列に並んだり順番を守ることが出来ない子への放課後等デイサービスでの支援や対処方法
発達障害などの子の中には列に並んだり順番を守ることが出来ず、横入りをしたり人を押しのけるような行動をとってしまう子がいます。
周りのお友達がしっかりと列に並んで順番を待っているのに、それを守れないと「わがまま」「自分勝手」と思われてしまうこともあります。
放課後等デイサービスでは列に並ぶのが難しい子や順番を待つのが難しい子に対し、どのような支援が行えるかを紹介します。
子供が列に並んだり順番を守ることが出来ない理由
子供が列へ並んだり順番を守れないのにはさまざまな背景が考えられます。
子供によっては並ぶことや待つことの意味自体を理解していない場合や、理解をしていても我慢が出来ず衝動的に動いてしまうということもあります。
まずは子供の特性や並ぶこと待つことができない理由を知ることが重要になります。
並んだり順番を守る意味を理解していない
知的な発達が遅れている場合や社会的ルールの理解が難しい場合には「並ぶ事」「順番を守ること」の意味の理解が難しい事があります。
並ぶ事や順番を待つということは、列に並んでいる人は見えても、目的や理由としての実態が見えないため、知的の遅れが有る子にとっては理解が難しいものになります。
また、他人への理解や意識が極端に低いと、自分以外の人も並んで待っている事の理解や、場合によっては自分以外の人が居ることを意識していないこともあります。
並ぶルールや順番の守り方がわからない
「並ばなくてはいけない」「順番を守らなくては駄目だ」と理解はしていても、実際に並んだり待つことへのルールが理解できない場合もあります。
列だと並ぶ場所や位置がわからないということが考えられます。
順番を守る場合にも具体的な番号や待ち方や待ち時間などが理解できないことがあります。
見通しがもてないため
自閉症などの発達障害の子は見通しが持てない事に対し強い不安を感じます。これは、発達障害の子が物事を予測したり想像することが苦手だという特徴を持っているためです。
見通しが持てないと「どれくらい待てばよいのか」「何人後が自分の番なのか」「(物などを買う列の場合)自分の分まで欲しい物が残っているか」など不安になりストレスを感じてしまいます。
衝動的に動いてしまう
ADHD(注意欠陥・多動性障害)など、衝動性の特徴が強い子の場合には、場の状況や後のことを考えず衝動的に動いてしまいます。
衝動性が強いことで、気なるものや注意を引き付けるものが目に入ってしまうと、周囲の人が並んで待っているのにもかかわらず、目的のものへと駆け出してしまいます。
並ぶ事や待つことをすぐに忘れてしまう
並ぶことを意識していても、気になる事が有ったり、別の情報が入ってくると、並んで待っていたことを忘れる場合があります。
特に発達障害の子の場合は、後から入った情報を優先したりより重要だと感じる事があります。
場合によっては、古い情報を新しい情報で上書きしてしまう事もあり、「並んで待たなくては」という記憶を忘れてしまうことも有ります。
放課後等デイサービスでの支援や対処方法
列に並んだり順番を守ることが出来ない子に対して放課後等デイサービスで行える支援方法や対処方法について紹介します。
並ぶことや待つことへの見通しを持たせる
自閉症などの発達障害の子に行動を促す際には、事前に行動の説明をして見通しをつけてもらう必要があります。
見通しには「並ぶ理由」「何処に並ぶのか」「どの程度待つのか」など、子供が理解できていない部分や不安に感じていることなどを説明してあげましょう。
見通しを持たせる事で普段は並ぶことが出来ない子でも、「並ぶことで好きなものが食べられる」と理由がわかると、しっかり並んで待つことが出来るという場合も多いです。
並ぶことや待つことのルールを教える
並ぶことや待つことのルールを教えるのも必要です。
並んだり待ったりする活動の場合には事前に「並ぶ目的」「並び方」「待つときの順番」などをルールとして教えてあげましょう。
並ぶ際にはわかりやすいように足物に目印をおいたり、並ぶ位置に線などを引いてあげると効果があります。
待つ場合にも何処で待つのかや、何人待つのかなどを伝えてましょう。
列の最後に並ぶ事ができても、列の流れに乗ることができず、前の人が進んでもその場に立ち尽くしてしまうという事もあります。
列に並ぶ際に前の人が動いたら流れに乗って一緒に動くということも教えましょう。
ルールを記載しておく
並び方や待つ順などのルールを忘れてしまう場合には、並び方や待ち方などのルールを記載した紙を張っておいたり、黒板やホワイトボードに書いておくのも効果的です。
記載を掲示すると後から何度も確かめる事が出来るほか、忘れてしまった場合にも見直すことで再度確認することが出来ます。
その場で注意をする
順番抜かしたり横入りした場合には、その場で注意をすることが重要です。発達障害の子の場合だと後で注意をしても、その時には順番を抜かしてしまった事自体を忘れている場合も多いです。
順番を抜かしたり横入りした場合には注意をするだけでなく、列の最後に並ぶように促しルールを意識するようにさせます。
場合によってはペナルティを科すことで、「素直に並んだほうが得だ」と理解できる事も有ります。
順番のあるゲームや活動を取り入れる
放課後等デイサービスの活動で、列に並んだり順番を待つ遊びやゲームを取り入れるのも効果的です。
ボードゲームなど複数のお友達と順番で行ったり、トランプの七並べのように順番で行わないと先に進むことが出来ないルールの遊びを取り入れるのも良いでしょう。
トランポリンやサーキットトレーニングなどを行う際には、一人ずつ行わせ他の子はその間にしっかりと待ってもらうようにします。
順番を待っている間には他の子が行っている様子を見てもらうことで、自分以外の人へ意識を持たせる効果もあります。
おやつを配る際、トイレ待つ際、送迎車両に乗り込む際など、ちょっとした事の中でも並んで待つことを取り入れると、子供たちも並んで待つことへの意識が高まるでしょう。
まとめ
列に並んで待つことが出来ない子は、さまざまな理由が考えられます。
まずは子供の障害特性、苦手なこと、理解が難しいこと、不安に感じていることなどを理解することが重要になります。
並ぶことや待つことに関しては経験をこなさないと、意識することが難しいことでもあります。放課後等デイサービスにおいても、活動の中で並ぶことや待つことの練習を取り入れ支援を行っていきましょう。