放課後等デイサービスの設備基準

2018年9月17日

放課後等デイサービスの設備基準

放課後等デイサービスの事業所を設置するに当たっては、施設の基準や必要とされる部屋や設備が定められています。

放課後等デイサービスは他の福祉施設に比べるとその基準もかなりゆるいものとなっており、基本的にはある程度の面積のある『指導訓練室』とそのほか、サービスを提供するに当たって必要な部屋となっています。

ここでは実際に必要とされる部屋とその目的、及び支援や活動を行うにあたってあると良い設備や物品などを紹介します。

設備基準の法的根拠

放課後等デイサービスの施設や設備に関する基準としては『児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準』に以下のように定められています。

児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準

『指定放課後等デイサービス事業所は、指導訓練室のほか、指定放課後等デイサービスの提供に必要な設備及び備品等を設けなければならない。』

『指導訓練室は、訓練に必要な機械器具等を備えなければならない。』

『設備及び備品等は、専ら当該指定放課後等デイサービスの事業の用に供するものでなければならない。ただし、障害児の支援に支障がない場合は、この限りでない。』

放課後等デイサービスで必要とされる部屋

基準上では放課後等デイサービスで具体的に必要とされる部屋には『指導訓練室』とだけ定められており、その他提供に応じて必要な部屋等を用意する事となっています。

法的なものではありませんが厚生労働省の『放課後等デイサービスガイドライン』では、指導訓練室のほか、おやつや昼食の取れる空間、静かな遊びの出来る静養空間、更衣の出来る空間を工夫して確保する事が必要であるとされています。

放課後等デイサービスとして必要とされる部屋は一般的に、指導訓練室、事務室、プレイルーム、個室(相談室、静養室)、トイレ、シャワールーム、キッチンの部屋が有れば運営上問題は無いかと考えられます。

建物の都合上、個室や着替えをするエリアが確保できない場合には、パーティションやカーテンなどで区切り、外部から見えないようにしてプライバシーに配慮するという方法もあります。

放課後等デイサービスガイドライン

それぞれの部屋について

ここでは放課後等デイサービスで必要と考えられる部屋と、それぞれの使い方について説明してみます。

指導訓練室

指導訓練室とは名前の通り『指導』や『訓練』を行う部屋で、子供が主に活動する部屋や空間を指します。

指導訓練室は子供一人当たり2.47平方メートルの床面積以上ある事が目安となっていますが、自治体によってはそれ以上の面積を求められるところもあるので確認が必要です。

ちなみに京間の畳1.5畳が約2.7平方メートルなので、子供一人当たりの面積が1.5畳以下と言うのは、体格の大きい子供や元気に活動する子供が多いと狭く感じるかも知れません。

また、利用する子供の障害や特性、活動の内容などによっては、2.47平方メートル以上の面積があったほうが良いと思います。

事務室

放課後等デイで必要とされる事務作業を行う部屋となります。
事務室には指定の面積はありませんが、事務作業用の机や機器、場合によっては会議エリアや、職員のロッカーや荷物置きなどを置けるスペースがあると良いと思います。

プレイルーム

プレイルームは必須では有りませんが、指導訓練室と分けた活動スペースとして有ると便利です。

指導訓練室は集中して訓練や療育を行う場とし、プレイルームでは体を動かしたり、遊びやフリータイムの時間に使う場所などと分けることで、子供も気持ちの切り替えが出来、活動にもメリハリが出るでしょう。

机を並べることによって食事やおやつの場所としたり、皆での机上の訓練を行う場としての活用もできます。

個室

活動を行う部屋とは別に、個室もあると便利です。
個室の活用方法にはアセスメントや面談などを行う相談室として使うほか、体調不良や眠くなってしまった子供の静養室としても活用できます。

他の利用者から離れた場所として、パニックや興奮してしまった子が落ち着くためにクールダウンするスペース、着替えや紙パンツなどを交換する部屋としても使うことが出来るでしょう。

トイレ

トイレは家庭用の一般のトイレがあれば良いと思いますが、利用者の人数によっては便器や便座が複数あると便利です。

また、身体の不自由な子供でも使いやすいように手すりなどを設置したり、車椅子や補助椅子を利用している子供が居る際には車椅子と介助者が入れるスペースや、バリアフリーなども考慮する必要があります。

シャワールーム

活動で体が汚れてしまったり、排泄に失敗してしまった際に体を洗うために有ると便利です。

体を洗うだけでなく着替えを行うエリアとしても利用することが出来ます。

キッチン

キッチンは個別の部屋としては必要ないですが、洗い物やちょっとした料理などが出来るスペースとしてあると活動にも幅が広がります。

洗面台

手洗いの指導や衛生管理などの面で洗面台はあると良いでしょう。

通路

通路は利用する子供がスムーズに通れる幅を確保し、障害物となる物を置かないようにしましょう。車椅子やバギーなどを利用する子供が居る場合には、通路の横幅だけでなく旋回できるスペース、段差や傾斜などにも注意します。

段差などが出来てしまう場合には折りたためるスロープなどを用意しておくと良いでしょう。

災害時にはスムーズに非難できるように玄関への通路だけでなく、裏口や非常口などへも繋がる通路を確保しておきましょう。

庭や野外活動スペース

庭や外活動スペースは必須ではありませんが、事業所外で体を動かしたりできるスペースがあると子供にとって楽しめると思います。

校外の事業所であれば庭の確保も比較的容易かと思いますが、都市部や市街地では難しいと思うので、地域の公園や広場など利用できる場所を見つけておきましょう。

駐車場

駐車場も必ずしも必要ではありませんが、保護者が送迎する際の車を停車したり、事業所の送迎車を停める場所としてあると便利です。
子供が乗り降りする事を考慮して、安全な場所である事や、ある程度のスペースが確保できると良いでしょう。

設備や備品について

必要な設備や備品については、放課後等デイサービスを運用する上で、必要なものを用意します。

非常災害や防災設備

非常災害や防災に関しての設備も必要です。これらの設備に関しては施設の規模、地域や自治体の決まりなどによって違うので、管轄している自治体や消防署などに確認する必要があります。

基本的には消火器、避難口誘導灯や案内表示、防災用品、スプリンクラーや煙感知器の設置、火災報知機や非常ベルの設置、避難経路と非常口の確保が必要になります。

事務や運営的に必要なもの

事務や運営的に必要なものとしては、一般家庭で日常的に使用する日用品や、事務所として必要な用意をしましょう。

一般的には、パソコン、事務用品、食器、調理器具、日用品(ティッシュ、ゴミ袋、洗剤、タオル、雑巾、掃除用具等)、衛生用品(石鹸、ハンドソープ、消毒等)、トイレ用品(トイレットペーパー、お尻拭き、予備の紙パンツ)、救急箱、着替え、防災用品、冷蔵庫、洗濯機など。

療育や訓練に必要なもの

療育や訓練に必要なものはそれぞれの事業所の特徴や、利用する子供の障害や特性などにより様々ですが代表的なものを記載してみます。

体を動かす

マット、バランスボール、トランポリン、ボール、プール

学習

椅子、机、文房具・筆記用具、ドリルやワーク、絵本、各種絵カード

手先の巧緻性

ブロック、パズル、各種療育ツール

創作活動

折り紙、画用紙、文房具、粘土、塗り絵

音楽活動

楽器、CDデッキ

静養やクールダウン

布団、毛布、イヤーマフ

その他

個々のロッカーや荷物入れ、ホワイトボード

送迎関係

送迎を行う事業所の場合には、送迎車両、車両の整備用品、カーナビ、連絡用の携帯電話やスマートフォンなどを用意しましょう。

送迎の車両も毎日使用するものなので、定期的な整備や点検を行うだけでなく、何かあった場合にすぐに対処できるよう馴染みの整備工場も作っておくといざと言うときに役立ちます。

送迎に必要な道具については以下のページでも詳しく紹介しています。

関連ページ
放課後等デイサービスの送迎車に必要な物や有ると便利な道具 | 放課後等デイサービスのノウハウメモ

定期的な確認

建物や設備・備品などは、使っているうちに古くなったり壊れてしまいます。利用する子供たちが怪我をしないためにも、定期的な確認や交換などを行うようにしましょう。

ヒビやゆがみなど不具合などがあり危険と思われる物に関しては、使うのを止めるという判断をする事も重要です。

月に1回など期間を決めて定期的な検査や確認をしたり、避難訓練を行う際に建物や設備のチェックもするなど、期間を決めての点検も行いましょう。

また、実施指導や外部監査などを利用し、客観的に施設や設備の様子を確認してもらうのも方法の一つです。

まとめ

簡単ではありますが、放課後等デイサービスを運用するに当たって必要と考えられる、施設や設備・備品についてまとめてみました。

設備基準についてはそれぞれの都道府県や自治体により若干違うこともあるので、まずは管轄している自治体の担当者に確認する事が重要です。

備品は事業所の活動内容や療育方法によっては更に必要なものなどもあるかと思います。必要なものに関してはその都度揃えていくと共に、収納場所なども工夫していきましょう。