発達障害の感覚過敏

発達障害の感覚過敏

発達障害の子には『感覚過敏』『感覚過敏性』という特徴を持つことがあります。感覚過敏とは感覚が過剰に反応してしまうことで、子供が様々な感覚から必要以上の情報を取り入れてしまう事です。

必要以上の情報を取り込んでしまうと、混乱をしたり、情報を処理することができずにパニックになったりすることがあります。また、日常的に多くの刺激を感じ続けているために、肉体的にも精神的にも疲れてしまい、様々な悪影響を及ぼすことがあります。

発達障害の感覚過敏は、聴覚が敏感な子、視覚が敏感な子、触覚が敏感な子、味覚が敏感な子など人により様々です。

なお、逆に感覚が鈍感と特徴は『感覚鈍磨』と呼ばれます。

発達障害の様々な感覚過敏

感覚には五感と呼ばれる『視覚』『聴覚』『触覚』『味覚』『嗅覚』の5つの感覚があります。発達障害の子は人により様々な感覚過敏を持っており、場合によっては複数の感覚に対して過敏を持っていることがあります。

視覚過敏

視覚過敏には、光の強さ、室内の明るさ、人や物の多さ、動くものへの反応などに対し刺激を受けることがあります。

光などに過敏であると日光や蛍光灯が過剰にまぶしいと感じたり、蛍光灯のちらつきが気になって集中できない、白い紙に黒い文字だとコントラストが強く読めないことがあり、集中力や学習面にも影響が出てしまいます。

また、細かいものを見つけるのが苦手だったり、動くものがたくさん目に入る人ごみなどに行くと、目からの情報が多すぎて疲れてしまう事があります。

視覚過敏の際には光の量を調節したり、サングラスや視野が狭まるめがねの着用などで対応します。集中して作業や学習を行う際には周囲をパーティションで囲ったり、壁に囲まれたような場所を用意し、視界に不要なものが入らないように配慮する必要があります。

聴覚過敏

聴覚過敏には、特定の音を嫌がる、音が過剰に聞こえる、健常者が聞こえないような音にも反応するなどの特徴が見られます。

聴覚過敏であると音が大きく聞こえたり、特定の音を怖がったりすることがあります。そのため、音がなるオモチャや家電類を怖がったり、突発的に泣く犬や赤ちゃんなどを見ると逃げ出すことがあります。

嫌な音や大きな音が聞こえると耳を押さえたり、聞こえる音を掻き消そうと自分で大きな声を発する事もあります。

人ごみや騒がしいところではすべての音が同時に聞こえてしまい、混乱したり非常にストレスを感じます。

会話でも低い声や高い声を聞き取りにくかったり、騒がしい場所では相手の声だけを聞き取ることができない事があります。

放課後等デイサービスで活動を行う際には、音を軽減させるイヤーマフや耳栓を用意したり、嫌がる音源を遠ざける、音がうるさいと感じたら静かな場所や個室などに移動できるように配慮をしましょう。

触覚過敏

触覚過敏だと人から触られるのを嫌がったり、自分から物を触るのを嫌ったりすることがあります。赤ちゃんのときには親から抱かれるのを嫌がったり、大きくなっても手をつながれると手を振りほどいてしまう事があります。

これはやさしく触っているつもりでも、触覚過敏の子からすると強く感じ、場合によっては痛いと思っていることもあります。

特定の服を着るのを嫌がったりするのも触覚過敏の特徴で、素材がチクチクするものだったり、服の縫い目やタグなどが肌に触れるのを嫌う事があります。

指先の触覚が過敏であると物を触るのを嫌がったり、ぎこちない動きで物を持ったり摘んだりする事があります。足裏の感覚が過敏であると、地面に触れるのを嫌がり爪先立ちで歩いたり、踵(かかと)しか地面に付けずに歩くといった動きを見せることがあります。

味覚過敏

味覚過敏だと、味や食感などにこだわりが出て、特定の食べ物しか食べなかったり、口にしない食べ物増えたりします。発達障害の子に多く見られる偏食の多くも、味覚過敏が原因のひとつになります。

味覚に過敏であると薄味のものを好んだり、逆に味の濃いものや辛いものを欲しがる事があります。複数の味が混じるのを嫌がり、食べ物を順番に食べず、1品ずつ食べる行動をとる場合もあります。

味覚過敏が食感などにも影響することもあります。やわらかい物を食べても硬いと感じたり、ザラザラした物だと思ってしまう事があります。また、温度なども関連し好きな食べ物でも冷めてしまうと口にしなかったり、アイスや氷など冷たいものを嫌がることもあります。

嗅覚過敏

嗅覚過敏であると、においや香りなどに過剰に反応することがあります。

トイレなどの臭いが非常に強く感じて入ることができなかったり、複数の食べ物の香りが混ざると気持ち悪いと感じ口にしなかったり、吐き気をもよおす事もあります。

また、においの感じ取り方も健常者とは異なることがあり、一般的に良いにおいである、香水や芳香剤の香りも臭いと思ったり、香りが強すぎて気分が悪くなる事があります。

感覚過敏の状態

感覚過敏もそのときの状況により感じ方の状態や程度が変化することがあります。

不安やストレスを抱えているときやは過敏になりがちです。疲れなども影響し、午前中は問題が無くても、疲労がたまる午後になると過敏となる事もあります。

逆に落ち着いている時や、好きなことを行っているときは過敏も少なくなります。発達障害の場合には『過集中』という特徴もあり、集中しているときには外部からの感覚や刺激が入りにくくなるため、感覚過敏はほとんど見られません。

まとめ

感覚過敏には様々なものがあり、人により状況は様々です。また、感覚過敏は発達障害に見られる問題行動や多くの特徴の原因となっていることもあります。

感覚過敏はその本人にしか分からないもので、人知れず様々な感覚からの刺激やストレスを受けていることも多いです。

放課後等デイサービスで支援を行う際には、本人の特徴や行動の様子などをよく観察し、どの刺激に弱く、逆にどの感覚に強いかなどを把握してあげる必要があります。

また、放課後等デイサービスの環境を子供が過ごしやすい状態に整えたり、様々な感覚過敏に対応できるように、道具やスペースなどを考慮してあげましょう。