放課後等デイサービスのサーキットトレーニング

放課後等デイサービスのサーキットトレーニング

サーキットトレーニング(サーキットプログラムやサーキット運動とも呼ばれます)とは、サーキットの意味のとおりコースを作り、コース上にいくつもの運動を取り入れて様々な体の動きを行うトレーニングです。

イメージとしては障害物競走のようにコース上に様々な運動要素を配置する形になります。フィットネスジムなどで行われるサーキットトレーニングとは若干ニュアンスが違うので注意が必要です。

主に放課後等デイサービスでは、トンネルくぐり、平均台、ミニハードル、跳び箱、マット運動、手押し車、バランスボール、ミニトランポリンなどを使用して行うことが多いです。

自宅でもマットや布団やバランスボールなどをコース状に並べて行うことができるほか、公園の遊具などを使い行うこともできます。

サーキットトレーニングの目的やねらい

放課後等デイサービスが行うサーキットトレーニングは、運動を行う機会が少ない発達障害や身体障害などの子供たちに、楽しみながら運動を行ってもらうのが主な目的になります。

色々な運動や遊具、器具や器機などを取り入れて組み合わせることで、1つのコースで様々な体の動きのトレーニングを行うことができます。

自閉症などの発達障害の子供は、自分の体のイメージを持つことが難しく、上手に体を動かすことができないことが多いです。また発達性協調運動障害のように、体の複数の部位を同時に動かすことが難しく、体の動きがぎこちなかったり不器用だという場合もあり、様々な体の動きを取り入れるサーキットトレーニングは、そのような子供たちに適したトレーニングにもなります。

放課後等デイサービスの集団の活動として行うことで、順番を守るというルールの理解、お友達を応援したり応援されることでのコミュニケーション、1つ1つの課題をクリアすることでの達成感や自信をつけるなど、体を動かすだけでなく多くのねらいがあります。

サーキットトレーニングのメリット

個々の運動を行うのも良いですが、サーキットトレーニングにはサーキットトレーニングならではのメリットもたくさんあります。

柔軟な課題やコースの対応ができる

サーキットトレーニングを行う大きなメリットとしては、色々な道具を使うことでさまざまなコースを作ることができます。

子供の発達段階、障害や特性に応じてそのつどコース変更もできるので、様々な子が利用する放課後等デイサービスでは柔軟な対応が行えます。

たとえばマットでのでんぐり返りができない子の場合には横向きにごろごろ転がってもらったり四つん這いで歩く、平均台は歩くだけでなく立ち止まる、バランスボールを飛び跳ねる回数を増やすなど、子供が苦手な部分をフォローしたり逆に子供に必要とされている部分を強化したりする事ができます。

運動以外を取り入れることもできる

サーキットトレーニングは基本的に体を動かすことがメインですが、プログラムを工夫することで運動以外の分野も取り入れることができます。

例えば数が苦手な子の場合にはバランスボールを飛ぶ回数を設定し一緒に数える、色の認識が難しい場合にはカラーボールを同じ色の箱に投げて入れる、文字や物の理解が課題の場合には絵カードや文字カードを選ぶといったものも取り入れることができます。

ルールやマナーの理解

サーキットトレーニングを集団で行うことで、ルールやマナーの理解にもつながります。

サーキットトレーニングはコース状になっているため、最初に職員や模範となるお友達に実践してもらうことで比較的容易にルールや行うことを理解する事ができます。

放課後等デイサービスなど集団で行う際には、自分の順番を守って行うということも習得できます。一人ずつ行う際には、終わった人にタッチをしてもらいプログラムを開始し、自分が終わったら次の子にタッチをして順番をルールなどを意識させます。

コースが詰まって渋滞してしまった際には、順番抜かしをしたりせずにお友達が行うのを待つという訓練にもなります。

お友達や職員との協力を学ぶ

サーキットトレーニングにお友達や職員と協力して行う項目を設定する事で、人を意識して協力するというトレーニングにもなります。例としては2人でボールを運んだり、2人で協力してカゴを担ぐなどです。

協力して行う項目を作ることで、相手の動きを意識する、相手との歩調を合わせる、声を掛け合うなど共同作業やコミュニケーションの練習にもなります。

達成感や自信につながる

自閉症などの発達障害の子は成功体験が少なく、達成感や自分への自信につながる経験を得る機会に乏しい事が多いです。

サーキットトレーニングには1つのコースに多くの項目が設定され、それを一つ一つクリアしていくので、細かいながらも成功体験や達成感を得る回数が多くなります。

一つ一つの項目をクリアするたび、周囲のお友達や職員が褒める声をかけてあげることで、子ども自身の達成感や自信につながります。

サーキットトレーニングに自信がない子への対処

自信がない子に対しては職員がやり方を示したり、お手本となるお友達に実演してもらういましょう。難しいと思われる部分は職員が補助やフォローをすることも重要です。

そのつどコース内容やメニューを変更する事ができるのもサーキットトレーニングのメリットのひとつで、難しい項目を省いたり別の簡単なものに置き換えることもできます。

マットでのでんぐり返りが難しい場合には横になってゴロゴロと転がってもらったり、四つん這いになりハイハイで歩いてもらうという方法が取れます。平均台が怖い子の場合には平均台を2本にして両足で歩けるようにしたり、職員が手を取ってフォローをしてあげるなどの対応をとりましょう。