放課後等デイサービスと不登校の子供の支援
放課後等デイサービスと不登校の子供の支援
発達に遅れのある子どもの中には、その障害や特性、発達のアンバランスさなどから、学校に対して苦手意識や不安を感じ登校が出来なくなってしまう事もあります。
利用者が不登校となってしまった際には、放課後等デイサービスとしても居場所の確保や再び登校が行えるように支援を行う必要があります。
学校の先生や保護者の中には「まずは学校に行くことが先決」「学校にも行けないのに放課後等デイサービスに行くなんて・・・」と言う方もみられます。実際に学校に登校していないのに、放課後等デイサービスに来所していると行くと嫌な顔をする先生もいます。
しかし、学校に行けず困っているのは子供本人です。放課後等デイサービスは、学校、保護者、教育支援機関などと協力して適切な支援を行うことが必要となります。
子供が不登校になる原因
子供が不登校になる原因で多いのは「お友達や先生との対人関係の問題」「集団生活への不安」「睡眠障害や気持ちの起伏などの生活リズムの乱れ」「学習や課題などの授業についていけない」「親と離れたくない」など子供により様々です。
また、特定の授業や活動の日は登校を拒む、夏休みなど長期休み後に学校に行きたがらない、運動会や発表会の練習が始まるとそれを嫌がるという、イベントや時期に関連していることも多いです。
特に自閉症などの発達障害の子供は、その成長のアンバランスさから、様々な原因や複数の理由から学校に行くのが嫌になってしまうこともあります。重要なのは不登校自体を問題とするのではなく、不登校となっている原因を解明し一つ一つを乗り越えていくことが必要となります。
放課後等デイサービスにおける不登校児の支援
放課後等デイサービスガイドラインの中では『不登校の子どもについては、学校や教育支援センター、適応指導教室等の関係機関・団体や保護者と連携しつつ、本人の気持ちに寄り添って支援していく必要がある。』と記載されています。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について」についてでは、『不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要がある』とされています。
放課後等デイサービスとしては不登校や登校拒否の子供に対して、保護者や学校や関連機関と連携し、本人の気持ちに寄り添った支援を行う必要があります。
放課後等デイサービス利用時の学校の出欠について
意外と知られていないのですが、学校に登校できていない子供が、放課後等デイサービスを利用していたり、専門機関や療育機関などで相談や指導を受けた場合、学校に登校していなくても指導要録上出席扱いにする事もできます。
これにはただ放課後等デイサービスを利用したというだけでは無く、「保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること」「民間施設についてのガイドラインに沿った内容である事」などが定められています。
また地域の自治体や教育委員会の考えや、学校長の判断が必要なことから、まずは不登校や登校拒否の子供の対処方法として、通っている放課後等デイサービスの利用が適切であるかを確認する必要があります。
参考:高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について
不登校の子供への取り組み
不登校や学校へ行くことを拒む子供へ放課後等デイサービスの支援の例をいくつかを紹介してみます。
登校自体を拒んでしまった子
この子は基本的に学校へ行くことが好きではない子でした。普段の登校日も家から出ることがなかなかできず、給食の時間近くに登校をしたり午後だけ学校に来るということが多く見られました。
そしてある年の夏休み、放課後等デイサービスの利用自体は拒否する事が無く、夏休み中は放課後等デイサービスが自宅まで迎えに行き、本人もデイの活動に参加をしていました。しかし、夏休み後には自宅から出られなくなり、学校にも登校できなくなってしまいました。
ご家庭もお父さんがお仕事で朝早くから車を使用してしまうので、本人を自宅の車に乗せて学校まで連れて行くというのも難しいという状況でした。
そこで、ご家族及び学校の先生と連携し、利用している放課後等デイサービスの送迎車が学校送迎前に向かう前にご自宅に寄り本人をお迎えし、そのまま学校に向かい学校の様子に慣れてもらうという対策をとってみました。
最初は車が学校の校門に入ると顔を伏せてうずくまってしまいましたが、何度か行うと顔を伏せることも少なくなりました。そこで、次はからは時間をかけながら以下の段階を踏んでいきました。
- 担任の先生に送迎車まで来てもらい挨拶を行う。
- 先生と会話を交わす
- 送迎車から降りて先生と話す。
- 下駄箱まで向かう。
- 教室まで行く
特に4と5の校内まで入る行動は、他のお友達が下校した後であり、校内も静かな環境だったので、比較的落ち着いて行えたのも良かったと思っています。
このようなスモールステップの支援を行い、日数はだいぶかかりましたが、再び学校にも慣れて登校できるようになりました。
他人とのコミュニケーションが難しい子
とある支援学級の子ケース。
この子は学校に登校はしていましたが先生やお友達とのコミュニケーションが苦手で学校が辛いと感じ、遅刻をしたり早退を繰り返していた子でした。
この子も放課後等デイサービスに来るのは好きだったので、毎日学校に行く事だけはお約束し、学校で辛くなったら放課後等デイサービスに来れるような対処を保護者や学校と連携し行いました。
放課後等デイサービスではお友達と関わる遊びや活動を中心にコミュニケーション能力を高める支援を行いました。その結果、1年半ほどすると嬉しいことに本人から「放課後はお友達と遊びたいから、デイサービスを辞めたい」と申し出がありました。
放課後等デイサービスだけでなく、学校や家庭の配慮や指導も大きかったと思いますが、お友達とのコミュニケーションを取る力が高まり、子供本人が成長する手助けが出来て嬉しく思いました。
まとめ
放課後等デイサービスでは、登校拒否の子供の対応も重要な支援になります。
登校拒否の支援では、放課後等デイサービスの立場から、本人、保護者、学校、その他関連機関と連携を取り、情報提供や共有を行っていく必要があります。
また、放課後等デイサービスは、学校や家庭ではない第三の居場所を提供してあげるという面としての支援も重要な項目のひとつになります。
登校拒否の子供に関しては本人の負担にならないように気持ちに寄り添い、長い目で支援をしてあげることが重要になります。